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18才のファンタジェンヌ  作者: はねとら
第四話 ノーム村の決戦
16/25

絶望の村


 村人達の無残な光景とアゴンに対しての怒りと恐怖から、足の震えと過呼吸がわたしを襲う。

 必死に平静を装おうとはしているが、目に入ってくる景色が胸を締め付ける。

「どういう事よ」

 必死に出した言葉を、しかしアゴンは捻じれた笑みを崩さず。


「お前がこの村に来るのは予想していた。

 お前と会った村とデカイ街は山道の一本道しかない、相当距離が離れている中心にこの小さい村があるから、待ち伏せしていれば来るだろうとは簡単に予想できた」

 つまり、私がこの村に立ち寄らなければ、こんなことにはならなかったのか……。

 っ………とに、

「なんなのよ、わたしに何の用があるっていうのよ!」

「俺と戦え」

「はぁ??」

 アゴンが右腕を振り上げ――――振り下ろす。

 瞬間、荒神の剣が焦って叫ぶ。

「引けっ」

 咄嗟に地を蹴って後方にジャンプした途端。

 


 があぁぁぁぁぁぁぁぁん!



「ひっ……」

 私がさっきまで立っていた、数歩前の地面が突如爆発した。

 強烈な爆風に吹き飛ばされ、数メートル後ろにあった家の外壁に衝突する。激痛に悲鳴を上げ、呼吸を忘れ私はその場に崩れ落ちた。

「美咲、大丈夫か!?」

 激痛が全身を駆け巡り悶絶する。

 いままでの人生で経験したことがないくらい痛い。

 体を四つん這いにしながら、視線の元にある荒神の剣に無言で頷く。

 簡単に終われない。

 柄を握りつめてゆっくりと立ち上がり、よろめきながらも刀を構え。

「力を貸して」

 私の頼みに「当たり前だ」と力強く答えてくれる、柄を握る両手に力を込めて、わたしはアゴンに向かって地を蹴った。

「そこから、どけえぇぇぇぇぇぇぇぇ」

 叫びながらアゴンに迫る。



 アゴンは死体の山から立ち上がり、死体の一つを蹴った。

 こちらに飛んでくる一つの死体、それはスローモーションのようにゆっくりと見えた。

子供。少年の……

 こちらに迫ってくるソレは顔が確認できなかった。が、ふと体制が変わり、顔が確認できてしまった。

「ホル………スト」

 見覚えのある顔が確認できた瞬間、ホルストを受け止めてその場に倒れる。

「ホルスト!」

 彼の体を抱き寄せて叫ぶが、その体はヒンヤリと冷たかった。

 死んでいる………。

 開かれた目は恐怖を目撃したのだろう、瞳孔が開いていた。

 怖かったよね………

 ホルストの血がついた右手を、彼の瞼の上にかぶせて目を瞑らせた。

 地面にそっと横にさせて、立ち上がる。

 涙で視界が滲む。

 人の死を………身内の祖母や祖父以外の死を、こんなに近くで見たのは初めてだ。

 しかもこんな惨い………

 勝てなくても、傷の一つでも付けなけなきゃ収まらない。

 


 ズン!!



 えっ?


 なびく栗色の髪。わたしの左わき腹に突き刺さるナイフ。

「な……」

 虚をつかれて、こぼれる声。

 突如現れたエルゼが、わたしのわき腹にナイフを突きさしたのだ。

「あんたさえいなければ、あんたさえ来なければ」

 鬼の形相でわたしを睨みつけ叫ぶエルゼ。

 しかし彼女の瞳は本来黒目のはずだが赤い。

 様子がどこかおかしい。

 体を震わせ、血の涙を流しながら息を荒げ、

「フーフー。

 あんたが来なければ、こんな事にはならなかった」

 両手をわたしに掲げ、呪文を詠唱するエルゼ。

 大気が歪み、掲げた両手に風が集まって球状の塊が現れる。

 わたしは生み出された強風のせいもあり、刺されたわき腹を抑えながら、立つ力もなくなりその場に崩れる。

「死んで」

 わたしに向けられた凶器な一言は、術を発動させる引き金となる。



 ずざざざざざざざざざざざざざざざさ!!!



 解き放たれた魔法は無数の風の刃となり、わたしの体を切り刻んだ。

 


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