幕間:竜人の蛮族と生死
お久しぶりです。7年振りの執筆になります。
最近、過去の話を読み返して手直し加えたりしていたら再燃してきたので、
今回15話(激怒)と16(孤独)の話(15.5話)を幕間としてしたためました。
ハインが自分を振り返ってる間に現実で起きていたシーンになります。
一瞬だけ時間相応に静まった夜闇を、燃え盛る業火の音が慈悲もなく劈く。
その燃え盛る炎がなければ闇と同化してしまうほど塗りつぶされたシルエットに加えられる光沢は、彼女の怒りの色を焼き付けんとするようだった。
その絶対的な存在を、同族達は驚愕と畏怖から目を離すことなく、生き残る術を駆け巡らせる。
「なぜルシハ様は竜化を?!」
少しでも打開の手を探り、状況を読み解こうとするドレイク。
「知るわけないでしょう!何とかしなさいよ!」
自分の責を逃れるようにヒステリックに叫び散らす。
そして、従者は恐怖のあまり硬直し、目を覆う包帯が涙で滲んでいる。
ゴブリン達は蜘蛛の子を散らすように逃げ場を探し、ドラゴンの目についたものから、無差別に、無作為に、無慈悲に、葬られる。
爪で、牙で、尾で、仕留められ、その残骸は刻もなく火葬される。
しかし無意識に、不自然に、先程の異形の死体だけは炎に呑まれずにあるのを見逃さなかった。
「あれを生き返らせれば…逃げる時間くらい稼げる」
ガキにとってあの異形が大切なモノなのは確かだ。
私が安全に逃げる時間を作るにはあれを利用するしかない。
「ヴィヴ!あの死体を安全な場所に匿いなさい!」
「ひぃえ?!」
包帯で表情は読めずとも意味が理解できないことは伝わる。
「考える前にやりなさい!!」
理由もわからぬまま慌てて主人の命令を遂行しようと『ロームパペット(泥人形)』を産み出し異形へと向わせるが、それを見逃すまいと放たれた火の壁で泥人形はたちまち崩れ落ちた。
「だあああああ!リンド!あいつの気を引いて時間を稼ぎなさい!!」
「私にはあなたに従う義務はありません」
この期に及んでこの堅物は部下ではないことを理由にそんな事を言い放つ。
「わたしが!この状況を!なんとかしてやるから!!言われたことをやりなさい!!」
これでもかという剣幕で捲し立てる。
リンドは諦めたように首を振ると自身の武器を構え、この場での仮の主人へと矛先を向けた。
その魔剣を発動体として手始めと言わんばかりに『ファイアボール(火球)』を放り、手当たり次第に破壊を行使していたドラゴンに不意の一撃。
火球は派手な音を立て破裂したが爆風の隙間から覗いた眼光は期待していたダメージはなかったことを告げる、それでも注意を引くという最低条件だけは達成された。
不本意でも主人に牙を剥いた代償を払えと咆哮が怒りを露わにした。
その隙を突き異形の死体を泥人形に攫わせドラゴンとの距離を取らせる。
複数の泥人形で壁を作らせ視界から死体と自分の身を隠す。
その後を従者が追って壁に隠れようとするのを突き飛ばした。
「これを蘇らせる間、囮になってなさい」
「そんなっ…!」
あまりの命令に反論しようとした従者を直視で睨む。
目隠しで制限されていた邪視が同族の持ち得る抵抗力すら凌駕し、従者の腕を石にした。
「ぁ、あう、ぁぁ…!」
女は立場をわからされ、嗚咽と悲鳴の入り乱れた言葉にならない声を上げながら残された足で土壁の周りを駆け出した。
これでようやく邪魔なく魔法を行使できる。
残された魔力は少なく、決して失敗できない、禁忌の術。
神経を研ぎ澄ませ可能な限り意識を死体に向ける。
『リザレクション』
この数年で色んなジャンルの創作物に手を出していましたが、やっぱり物語を執筆するのが一番楽しいなって思いました。
近々、2章から執筆再開をしたいと考えてるので、よろしければお待ちください。




