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第3章 恐怖

第3章 恐怖


第1話 研究成果


 アインは、ルッカスの残した研究資料を調べた。

調べたくない。

見るのも嫌だ。

悪意が伝わってくる。


 だが、アインの「トランス状態」が、それを抑え込んだ。

「窪み」の原理が、解った。

それは、目新しい事ではなかった。

アインでも作れる。

「自分なら、もっとうまく作る事ができる」


 遺伝子の研究が、異常に進んでいる。

タンパク質の合成も行われたようだ。

あの滅亡したLOSで見つかった不自然な化合物の正体は、おそらくこれだ。

 一時的な突然変異を起こす事が、できるようだ。

だが、それは呪文を超えないレベルだ。

遺伝子の組み換えも行われている。

アイン「やつは、理論を捨てたのか?」

実験のみが目立つ。

それも、アインから見れば思い付きだけだ。

だが、アインにも解らない部分があった。

 この情報は、ムーに送った。


 鎮也「やつは、何を望み、何を願ったのだ。

やつは、いつ、何処で道を誤ったのだ。

気が付かなかったのか?

いや、気が付けなかったのか。

僕には、仲間がいる。

信頼できる友がいる。

僕の過ちは、皆に託そう」



第2話 第2LOS


 シランは、ムーに行って見たかった。

だが、彼はこの惑星に責任を持っている。

この惑星では、シランを補佐する指導者の育成が、急がれていた。

もはや、防御に徹する必要はない。

 この惑星の繁栄に力を注げばよい。


 鎮也が、提案した。

「この惑星時で7日間だけ、ムーに行ってみないか。

留守は、僕達が守っている。

僕達が信頼できないのなら、話しは別だが」

「そんな、是非お願いします」


 ポセイの操縦で、シランはムーに向かった。

他のLB13は、休養だ。


 ムーに着いたシランは、頷いていた。

「なるほど、こういうシステムもあるのか」

シランは、地球の社会構成も知った。

社会運営も知った。

考え方も知った。

技術のあり方も知った。

 だが、「それが正しい」と、誰が言えるのだろうか。


 レインが、シランに付いて離れない。

レインは「空間学」のレアレベル者だ。

だが、自分とシランのレベルの違いに直ぐ気が付いた。

「こんなにも上級な者がいるのか」


 シランは、帰りたくなかった。

だが、彼には大切なものが待っている。

帰る日が来た。

 レインが「一緒に行く」と言う。

シランは歓迎した。

レインはムーの技術の基本を1通り知っている。

どっちが先生か生徒か分からない。


 第2LOSを「Space Basic Satellite」SBSと呼んだ。



第3話 第3LOS


 アプリは、第3LOSに向かった。

第3LOSは、アプリを歓迎した。

ポセイは、いつも留守番だ。


 第3LOSは、第1LOSにそれほど脅威を感じていなかった。

第2LOSが緩衝の役割をしていたのだ。

第3LOSは、トリダイバリオンの開発に成功していた。

ムーでは、開発を見送ったダイバリオンだ。

トリダイバリオンは、ムーの第2世代と第3世代の中間のダイバリオンだ。


 LB13は、歓迎されている。

色々な施設を案内してくれる。

この惑星の指導者達と会談も行った。

様々な文化を紹介してくれる。

ムーとは、異なる文化だ。

LB13は、満足していた。

 この惑星を「文化の惑星」COSと呼ぶ事にした。


 ポセイも休養を取っていた。

アプリは、ポセイの操作が無ければ、性能が数レベル下がる。

ポセイは、アプリに言っていた。

「攻撃されたら、教えろ」


 COSの指導者達は、LB13に感謝していた。

それと同時に嫉妬もしていた。


「我々も同じ技術が欲しい」



第4話 走査


 アプリが、走査されていた。

アプリは、気が付いていた。

だが、攻撃されているのではない。

LB13の誰かなら、攻撃の前触れと、判断しただろう。


 COSの科学者が唸る。

「第6のクォ-クか。

第7もあるのか。

あの物質は何だ」

科学者の焦点は、物質にのみ向けられた。


 COSの指導者達に報告が行く。

指導者達は、恐怖すら覚えた。

「彼らが、その気になったならば、この惑星は滅びる」

嫉妬が恐怖に変わった。

恐怖が攻撃に変わった。


 アインが、見えなくなった。

アリスが気付いた。

「アインは何処?」


 アインは、小さな部屋にいた。

アイン「うん、ここは何処だ?

私にとって、絶好の環境ではないか。

思考に集中できる」


 その部屋は、COSの傑作「密慮の牢」だった。

暗号と暗号を超加速器で衝突させる。

そこには「無作為の暗号」が残った。

これを解くためには、衝突を起こした者の意図が必要になる。

その者の意図だけが「鍵」だ。

「密慮の牢」を開けるためには、その鍵が必要だ。


 アリスは、感知能力を発動させていた。

未だ、それほど深刻ではなかった。

「又、アインの気まぐれだわ」

見つからない。

アリスの感知能力でも、見つからない。


アリス「何かおかしい」



第5話 頭脳スキャン


 COSは、2つ目の傑作を持っていた。

それは、対象者の思考をスキャンできる装置だった。

アインは、このスキャンを受けた。


 この時、アインは気が付いていた。

アインは、思考をブロックしている。

そのブロックをこじ開けようとしている者がいる。

アインは、考えた。

「私は、閉じ込められているのか?

ここは、何処だ?」

遅い。

「少し、開いて見ようか」

何かが流れ込んで来る。

アインはブロックし直した。


 COSの科学者達は、一様に驚いている。

「何故、装置が働かないのだ。

一時、働いたように見えたのは何だ」

この惑星には、今、覚醒者はいない。

覚醒者は、伝説だ。

伝説の覚醒者は、旅立ったそうだ。

この惑星にいるのは、数人のレアレベル者だけだ。

「あいつは、伝説なのか?

伝え聞いている覚醒者なのか?」


 覚醒者は、何処にでも現れるのではなかった。

選ばれた惑星にのみ、可能性があった。

その可能性を実現化させるのは、もっと困難だった。

必然と覚醒者の出現率は、低くなる。


 何故、13人も纏めて地球に現れたのだろうか?



第6話 覚醒者


 アインは、試してみる事にした。

自分の身体をこの部屋から出す方法は、思いつかない。

ならば、思考を外に漏らす事は、出来ないか。

アインは、ブロックを少し開けた。

何かが流れ込んでくる。

その流れを遡った。

そこは、装置の中だった。

アインは、叫んだ。

「助けてくれ~」

アインは、ブロックを閉じた。

後は、待つだけだ。


 アリスが、感知した。

アインの叫びを感知した。

「何の冗談かしら?」

鎮也に相談した。

鎮也「その叫びの場所は、分かるか?」

アリス「はい」

サムは、鎮也を同行して、そこへジャンプした。


 COSの科学者達は、驚いた。

突然、目の前に現れた鎮也達に驚いた。

鎮也「この装置は、何ですか?」

科学者「…」

鎮也「この装置の中から、僕達の仲間の叫びが聞こえたのですが」

科学者「…」

鎮也「サム、アリスを連れてきてくれ」



第7話 鍵


 アリスが『鎮魂の鏡』を発動させた。

アリスに、COSの全ての科学者の思考が流れ込む。

その時、装置が消滅した。

『鎮魂の鏡』に反応して、消滅したのだ。

思考の流れの中に驚きが混じる。


 アリスは、溜息を付いた。

「もう少し、加減すればよかったわ。

でも少し、面倒が増えただけ」

アリスは、彼らの思考を整理する。

「この中に鍵を持つ者がいるわ。

貴方ね」

アリスが指差す。

 その科学者は、腰を抜かしている。

アリス「開けなさい」

こんなに激怒しているアリスを始めてみる。

鎮也「どうしたのだ?」

アリス「アインが閉じ込められているの。

早く、開けなさい」


 その時、武装した兵を従えて指導者達が集まった。

だが、LB13も皆集まっている。

ポセイは、留守番だ。

そのポセイは、後で皆の非難を受ける。

可哀そうだが、仕方がない。

彼の失態が、始まりなのだ。


 リーが、武装を解く。

全ての武器が、何処かに転送された。

指導者達は、パニックに陥った。

土下座している者もいる。



第8話 出獄


 マリヤが『平衡の糊』を発動させた。

皆、落ち着きを取り戻した。

怒りの鎮まらないのは、アリスだけだ。

「開けなさいったら、早く開けなさい!」

鍵が解かれた。

アインは、出獄出来た。


 アイン「ここは、何処だ?

あそこは、何処だ?」

アリス「貴方は!本当は、バカなのでしょ」

アイン「居心地は、悪くなかったのだが。

ただ、あの煩い邪魔さえなければな」

アリス「…

…」


 アインの興味は、直ぐに移った。

「何、無作為が作れるだと。

不可能だ。

少なくても、私には作れない」


 ここの科学者達も原理を知らないらしい。

ただ、偶然に得たものだった。


 「密慮の牢」の情報は、ムーに送られた。


 この技術が、後にダイバリオンの開発に影響を与える。

そして、アインはこうも伝えた。

「ヘックスダイバリオンの開発は見送れ。

それは、量産にはむかない。

 へプダイバリオンの開発を望む」



・遺伝子の第2話 恐怖


丹波は、視点を変えた。

重力子が、精神に重大な影響を与える事は、実証済みだ。

アインからの情報によれば、斥力子も同じようだ。

しかし、うまく説明がつかない。

重力子と斥力子は真逆の性質を持っている。

しかし、波として表現すれば、πだけ位相させたものだ。


 丹波は、遺伝子学だけでなく、波動論と宇宙論のレアレベル者だ。

だが、何処をどうやっても、うまく説明が出来ない。

アインの主張する「場」と「質」も考慮した。

だが、駄目だ。


 この時、大きな地震が襲った。

現在の地球では、珍しい規模だった。

かつての基準では、震度4くらいだった。

地震波は、ジャイロで、ほとんど吸収される。

ジャイロが無ければ、震度7を超えていたかもしれない。

丹波を恐れが襲うのは、久しぶりだった。


 「恐れ?」

「恐怖?」

「…」

「解ったかもしれない」

「重力子と斥力子の共通点は、恐怖だ。

高い所の怖い者がいる。

これは、無意識に位置エネルギーを恐怖している。

突き放されれば、身体も精神も恐怖を覚える。

巨大になれば、恐怖が実体化して襲う」


 人類が遺伝子発現率の70%を超える事の出来ない理由は、これかもしれない。

現在の人類は、ほとんど皆が不老不死だ。

だが、絶対の不老不死ではない。

突発的な事故に遭遇すると、不死を失う。

 皆、恐怖を無意識に抱えているのだ。

だが、恐怖は無意識の防衛でもある。


 何処が、境目なのだ?



・元素の第7話 43番~46番


テクネチウムは、自然界に存在する原子番号43の元素だ。

医療の分野で、検査目的に使用される。

未だ、未知の元素だ。


ルテニウムは、自然界に存在する原子番号44の元素だ。

ロジウムは、自然界に存在する原子番号45の元素だ。

パラジウムは、自然界に存在する原子番号46の元素だ。


 原子番号44番~46番は、レアメタルだ。

触媒として用いられる。

だが、やはり未だ、未知の金属だ。


 LB13の女性陣に贈ったならば、喜ぶだろうか。

少なくても、ミサは、何処かに持ち去るだろう。



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