4章あらすじ
各章の先頭に、前章のあらすじを順次掲載することにしました。
不要な方は読み飛ばしていただければ。
サヤが真の水の巫女として覚醒し、カツミが単独でオーク軍の将軍を倒したジャリカカラ大砂丘での戦いを終え、サヤとカツミはルサ=ルカからある頼みごとを受けた。
水の巫女とは本来ひとりしかいないもの。現在の巫女は、巫女が現れない間の国の支えとしてその地位についていたのだが、サヤが真の巫女であることが明らかにされると、いままでの巫女は国民を欺いていたのか、ということになりかねない。
軍も神殿も、みだりに争いの種を蒔きたくない。いずれしかるべき時期を見てサヤに巫女の地位を譲るので、真の巫女が覚醒した事実はいまは伏せておきたい。よって、今回の神殿の浮上に始まる一連の出来事は、カツミが水神の加護を得て行ったことにしてくれ、と頼まれ、カツミとサヤはそれを承諾した。
結果、救国の英雄として一躍時の人となったカツミは、身を隠すためホームを出てマイケルの家に居候する。
暇つぶしにサヤとヴォルドとゴブリン退治に出かけ、ヴォルドに稽古をつけてもらうが、あまりの不様さにフェンに嘲笑われる。
「意味のある稽古をつけてやる」と言われ、苦悶の海の魔女の洞窟をフェンが再現したものに放り込まれるカツミ。だが、ゲーム感覚で遊んでしまったため実戦の役には立たず、次はオーガの亜種であるサイクロプスとの戦いに出かける。
苦戦しながらもなんとかサイクロプスを倒したカツミだが、倒されたサイクロプスが変化して生まれた〈大目玉〉相手に、絶体絶命の窮地に立たされる。
と、そこに現れてカツミを救ったのが、もうひとつのヒューマンの国、グランデの第一王子だった。鳥人の風の巫女と、デモン族と共に現れた王子は、カツミを救けるとすぐに去ってしまう。
フェンが言うには、着々と力を増す帝国に対抗するため、グランデと鳥人と人狼族が手を結ぶ算段をしており、残るウォータで最も強いと思われるカツミに接触してきたのだと言う。驚くカツミに、最強に傷をつけたのがどれほどのことか理解しているのかと呆れるフェン。
そこに、マイケルが帰ってきて、サヤが水の巫女を継ぐことになったという。水の巫女になるのは名誉なことだが、一生のほとんどを水に囲まれた部屋で過ごすことになるのはあまりに可哀想だと苦悩するマイケル。カツミは、水神がサヤをそんな目にあわせるたろうか、と訝しむが、ちょうどやってきたヴォルドに、サヤが明日には水神の間に移るので、警備の隙をついてサヤに会うとしたら今夜が最後のチャンスだろうと吹き込まれ、神殿への侵入を決意する。
マイケルと共に神殿に侵入。水神の間の前でいきなりヴォルドが現れ、マイケルを囮にして門番たちをその場から連れ去る。ヴォルドは敵なのか味方なのか、と混乱しながらヴォルドに連れられて水神の間に向かうが、二人の前に、今度はルサ=ルカのもうひとりの腹心の部下、ニックが立ちはだかる。ヴォルドがニックを足止めし、カツミは単身、水神の間を目指す。
水神の間の前室には妖艶な美女が待ち構えていた。いでたちも立ち居振る舞いも普段とはまったく違うが、それはルサ=ルカだった。ルサ=ルカは、驚くカツミに結婚を申し込む。
驚くカツミにルサ=ルカは語る。
この国では、軍と神殿はもともと対等だった。だが、百年前、時の水の巫女と仙人の神官が命をかけて奇蹟を起こし、オーガ軍を撃退したことから、神殿が一気に力を増した。さらに今回、誰も命を落とすことなく奇蹟を起こし、オーガ軍を退けたことで、神殿の威力はいや増すだろう。
軍は、救国の英雄、カツミを取り込んで神殿に対抗したい。一方で神殿もカツミを自分たちの側につけようとしているという。
そこで、軍はカツミとのつながりをより強固なものにするために、カツミとルサ=ルカの婚姻を提案してきたのだ。
自分と結婚するか、でなければいますぐここで契るか、と迫るルサ=ルカ。カツミは、そもそもルサ=ルカと結婚など考えたこともない、いますぐというのならどちらも否だと断る。とたんにルサ=ルカは貴婦人然とした態度をかなぐりすて、サヤに会いたいならば自分を倒してから行けという。
オーガの血を引いているためリジェネーション能力を持ち、また十三騎士のひとつジューダスダガーとの契約を行ったルサ=ルカとの戦いは困難を極めるが、アルミュスを使ったコンボで辛くも勝利する。
そしてたどりついた水神の間では、サヤと水神と水の巫女とディーが和やかにお茶の最中だった。薄々察していたとはいえ、脱力するカツミ。
サヤが席を立った隙に、カツミは水神に、なぜルサ=ルカと戦わせたのかを問う。ルサ=ルカの攻撃があまりにも強力すぎたからだ。
水神は「ルサ=ルカが望んだから」と答える。
救国の英雄カツミがこの先ウォータに居続けるなら、軍につくにせよ神殿につくにせよ、ウォータの総大将にまつりあげられることは避けられない。だからといって、そうそう国外に出て行くことも許されないだろう。
だが、ウォータ一の強者、ルサ=ルカ将軍の剣をもってしても止められなかったなら、追っていけるものはいない。ルサ=ルカはカツミが自由になる道をひらいたのだと。
だが、それだけではないだろうとカツミが言うと、フェンが肯定する。
フェンの目的は、ルサ=ルカ相手の〈適度に命がけの戦い〉。
軍や神殿の人間が来るタイミングを狙ってマイケルの家からカツミを遠ざけることで、カツミの立場を不明にし、焦った軍が神殿との勢力争いの一発逆転を狙ってルサ=ルカをカツミに接触させ、ルサ=ルカがこの機会を利用してカツミと戦おうとするところまでを読んでいたのだ。
「自分なりに強くなる覚悟はしたから、騙し討ちのような真似はやめてくれ」と言うカツミに、フェンは「グランデではその覚悟を見せてもらおう」と答える。ウォータにいられなくなったカツミが次に行くところは、もう一つのヒトの国、グランデしかない。
水神は、グランデでオーガ以外の種族が結ばんとしている同盟に、ウォータの代表として加わるよう要請し、リゥ=バゥが単身ボルテを滅ぼしたことを知らせる。
カツミはグランデに旅立つことを決意し、サヤと共にスカンタに騎乗してウォータを後にする。
外伝
神殿の控えの間でのニックとヴォルドの戦い。