表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Make NewWorld /VR /Online;  作者: 山河有耶
1.PreProcessor
10/59

Constructor[0]="装備";

「これは…、お母さんの?」

「そうだ。サヤ、おまえの両親が冒険者をやっていたことはしっているな? その時におまえのお母さん、キクさんが使っていたものだ。その杖はお父さん、ルークさんのものだが」

「うん、でもお母さん、戦士だったんじゃ?」

「そうだ。だがかなり軽装で戦う身軽な戦い方をしていたそうだからな。体格的にはこっちの方が合うだろう。そしてカツミ、おまえにはこの短剣だ」

マイケルが出してきたのは立派な装飾のついた短剣であった。この形は、ソードブレイカーと呼ばれるものか?


「これは?」

「おまえ、その腰に二本差してるってことは二刀流なんだろ? じゃあこれを使ってくれ。ソードブレイカーっていう、サブウェポン向きの武器でさ。オヤジがたまに使っていたらしいんだが、俺はこの通り盾以外つかえねえからさ」

「そんな、形見なんでしょう?」

「はは、武器は使わなきゃただの鉄くずだ、ってな。オヤジの口癖だったんだ。それにそれでサヤを守ってくれるんなら全然問題ねえよ」

「そうですか……。わかりました、これはお預かりします。」

「はは、なるほどな。おまえも律儀だな。わかったわかった、必ず返しに来いよ。いつでもいいからな」

 必ず、無事なサヤと一緒に返すのだという気持ちは汲んでくれたようだ。


 彼から装備を受け取り、サヤが着替えに行っている間に俺は装備を確認する。


装備:

メインウェポン:ダガー

サブウェポン:疾風のソードブレイカー+2

頭:なし

胴:初心者の服

腰:なし

脚:初心者のズボン

足:初心者の靴

その他:なし


 げ、むちゃくちゃ良いものじゃないか。伝説級のものでは当然ないが、市販最高級品よりはだいぶ上、そんなクラスだな。+2っていうのは、普通の鍛冶職人じゃ作れない筈。マスタークラスの鍛冶職人が稀に作れるレベル。そして修飾子「疾風の」は風系の中級魔法エンチャント。中級までの魔法にスキルボーナスが付き、成功率、威力ともに大体1割増し、といったところのはず。


「すごく良いものですね、お父さんはすごい人だったんですね」

「はは。俺の目標さ。疾風のケーンといえばその人ありといわれたほどさ」

「そうですか。たしかに、お預かりしました」


「お兄様、カツミさん、どうでしょうか?」

 うけとったソードブレイカーの性能を確認したあたりで丁度サヤが戻ってきたのでそっちを確認し、そしてすぐに視線を外した。やばい、これはやばい。

「あの、似合わない、ですよね?」

「いや、そんなことないよ。うん。とてもかわいい」

 とっさに返事ができたのは、ゲームの時もギルドメンバーにおちょくられまくったために耐性ができていたからだろう。

 なんというかエロいのだ。お母さんは小柄で素早さが自慢の女戦士だったという。つまり、動きやすい装備なのだ。まぁそれは良い。多少の露出は予想していた。けれど、どうも少しだけお母さんよりも育っていたらしい。なにがっていうのはまぁ蛇足だ。そして今まで体のラインが全部隠れるような服しか着てこなかったのだろう、恥ずかしいらしく色々な部分を手で隠そうとしているところが更にエロい。


「どうしたカツミ。仲間なんだろ? ちゃんと装備を見てやれよ?」

 そういうマイケルの顔を見たときに確信した。こいつは敵だと。俺をエロ装備でおちょくってきたあいつらと同じ顔をしていると。くっ、どういうつもりだ。最愛の妹にこんな格好をさせるなんて。


装備:

メインウェポン:ファイアロッド+1

サブウェポン:皮の盾

頭:銀の髪飾り

胴:ミスリルレザーボディースーツ(♀)

腰:ミスリルレザーベルト

脚:ミスリルレザーショートズボン(♀)

足:ミスリルレザーライトブーツ(♀)

その他:炎の指輪+1


 ミスリルレザー、だと。これはNPC売りで最高レベルのものだったはず。俺も長い間お世話になった。丈夫な亜竜種の皮にミスリル銀のチェーンを編み込んだ最高級品。そう言えば近接回避職はどうしても傷モノになる関係で、ほとんど皆無に等しかったんだよな。こんな見た目だったのか。


「すごく良い装備だな。お母さんはさぞかし立派な戦士だったんだろうね」

「うん……」

 卑怯ながらも、話題をそらすことで俺への攻撃を回避する。いや、後回しにしてるだけだって分かってるんだけどね。一緒に冒険するわけだし。


「あぁ、そうそう。武具屋のおやじには俺の名前でツケられるように言っといたから、好きなの持っていけ」

「いや、それは悪いんじゃ」

「あぁ? どうせ来たばっかでそんな金ないんだろ? 下手な装備で行かれちゃ心配なんだ。まぁ安心しろ、どうせここの武器屋に残ってるようなのはゴブリン何匹か狩れば報酬でおつりがくるようなもんしかねえよ。前借だと思ってくれや」

「はぁ、すみません。お借りします」

「そうそうサヤ、夜は冷えるだろうからこれも持っていけよ」

 そいってマントを差し出すマイケル。…やっぱり確信犯だな。くそ、こっちをみてニヤニヤしてやがる。そんなものがあるなら初めから出しておけよ!


//-----


「ふむ、小刀があるとは、予想より品ぞろえが良いな」

「あー、それね? 汎用性のある装備は全部軍がもっていっちゃったからさ。逆にそういう人を選ぶ装備が集まってくるのよ。あなた、サヤちゃんのカレシさんでしょ? サービスするわよ?」

 あの後色々からかわれながらもなんとか抜けだし、武器屋で右手用の武器を見聞していると何処からともなく店員であろうおばさんが耳元で囁いてきた。あれ? 武器屋のおやじっていってなかったっけ? まあ夫婦でやっているのか。

「って、カレシってわけじゃないですよ?」

「あらあら、そうなの? いやぁてっきり。ふふ、でも脈ありなんでしょ? わかるわわかるわ。いいのいいの何も言わなくても分かってるから。あたしもあれぐらいのころはそりゃあもうかわいかったんだけどねぇ。え?いまでも綺麗だって? もううまいわねぇ。じゃあこの武器に防具一式サービスしちゃう。まぁレザー装備ってとこでしょ? お兄さんなら。ほらほらサイズ測らせてね? あら、意外と良いからだしてるのね? あたしが十年若けりゃほっとかないんだけどねぇ。うん、このサイズならこれとこれとこれね。お代はマイケルにつけとけばいいのよね? あはは、わかってるわよ、あの子の稼ぎぐらい。それにゴブリン退治するならすぐたまるわよ。ほら、これでサヤちゃんに良いとこみせるよの? あぁ、うんわかってるわ。そうだわ、これも持って行きなさいよ。鉄のガントレット。これぐらいなら貴方でもじゃまにならないでしょ? これでカッと攻撃をさばいたりしたらもうメロメロよ? うふふ、これも付けとくから。ほらほら、装備したらまたせちゃだめよ。女の子は何時もリードされたいものなんだからね。じゃあ修理が必要なったらまたいらっしゃいね!」


 ……この間、俺は「あ」とか「い」とかしか言ってない。いつの間にか装備を決められて、着替えさせられて、店から出されていた。まぁ、俺が選んだとしても同じようになっただろう物だから不満はないが、すごいパワーだ。勝てる気がしないぜ。

「ふふ、おばさんは変わらないな。私がハーフエルフだって知っても態度を変えなかったんだよ、あのおばさん」

 でてきたところでサヤが出迎えてくれた。サヤの装備は一式揃っているため、武器屋には特に用はなかったのだが、表で待っていてくれたのだ。

「そうか。まぁ良い人なのはすごく分かる。分かるんだが」

「うん。すごいパワーだよね。反抗する間を与えずにおせっかいを押し切るところがすごいよ」

 サヤは上からマントを前まではおっているので、見かけは普通の魔法使いっぽくなった。これなら大丈夫だ。主に俺の理性が。

「カツミも似合ってるよ、その装備。らしくなったよね」


装備:

メインウェポン:小太刀

サブウェポン:疾風のソードブレイカー+2

頭:レザーバンダナ(黒)

胴:レザーアーマー(黒)

腰:レザーベルト(黒)

脚:レザーレッグ(黒)

足:レザーブーツ(黒)

その他:アイアンガントレット


 ふむ、何も言わなくても黒色を選んでいるあたり、あの人元は冒険者だな? 派手な色は目立つから奇襲を食らいやすい。集団で行動する軍隊ならともかく、少人数の冒険者なら先手を取れるか否かは死活問題なのだ。サヤもマントは濃いグレーで、中の装備は兎も角、黒いタイツと相まって目立ちにくい色合いにはなっている。


「あぁ、丁度体にぴったりだ。これで装備は一通り問題ないかな」

「じゃあこれから偵察を……」

「いや、これからもう一回訓練さ。この装備で戦ったことないだろ? 時間がないならともかく、今はあるんだ。そうだな…たしか訓練所があったよな? あそこで練習してみよう」

「はい。……慎重なんですね。やっぱりお荷物、ですよね?」

 そう言って暗くなるサヤ。


「はは、ちがうよ。俺一人だったとしてもやってたさ。死んだら終わりなんだ。準備が足りなくて負けました、じゃ悔やんでも悔やみきれないだろ?」

 実際ゲームでも新しい装備を手に入れたら必ずならし戦闘をやっていた。ゲームでは死んでも復活出来るとはいえ、経験値ロストが酷いうえにそもそも痛いし怖い。そして盾役の俺がミスするということはパーティーの誰かが死ぬということだ。そんな迷惑はかけられない。


「はい……、分かりました。改めてよろしくお願いしますね、カツミ」

 どうやら分かってくれたようだ。まだ少し表情は硬いものの、だいぶ笑顔がもとに戻ってきた。

constructor、コンストラクタとは、オブジェクト指向型言語における、クラスの実体作成時に実行されるメソッドです。

変数の初期化など、クラス動作の準備に用いるのが一般的です。

例:

「gobrin」と言うクラスが有った場合、

gobrin:gobrin()

{

ここに内容を記載;

};

などとなります。(VC++の場合)

正しくは専門の(以下略

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ