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フィルムカメラ
男はカメラを手にした。
埃だらけのケースに綺麗に収まっていたそれを見つめた。その窓を覗いた。庭の様子が見えただけだった。からからと音がする。
「なぁ、それなに?」
茶色の猫が男に尋ねた。
「これ?なんだろうね」
甘える猫を撫でた。
女は、首に提げたそのカメラを構えた。夫と息子を取ろうとした。
「かあさん!お前もこっちこい、」
女を呼んで、その端に立たせた。
男はそんな祖父母の写真を見た。
祖母はその時にこのカメラを持っていた。
電池ボックスを開いた。板バネは、錆びて外れていた。
男は壊れたカメラをケースにしまった。




