表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/4

紫陽花

 男は歩いていた。特にやることもなかった。無論やりたいことがないだけである。

紫陽花の横を通った。美しい花に見惚れて男は足を止めた。

「きれいだ」

そう呟いた。多くの花が集まった大きな一つの塊。

 羽音が聞こえた。蜜蜂だった。小さな蜜蜂は男など見もしないで目の前を通っていった。紫陽花に止まると思った。

蜂は紫陽花の根元にあった小さな蒲公英に降りた。その上を歩いては止まって、また歩き出して止まる。それを繰り返していた。


 男はもう一つの大きな羽音の主を探した。

それは足長蜂だった。そいつは地面で這いまわっていた角を持った芋虫の上を飛んでいた。何度も近付いては離れ、近付いては離れた。

男は足長蜂と距離を取って、ただ見つめた。

 芋虫は必死に走って、角を振り回して紫陽花の根元に向かっていた。それでも蜂は動きを止めない。


 蜜蜂がまた違う蒲公英へ移動した。またあの動きを繰り返していた。

 足長蜂は、芋虫の上に乗って、牙を突き立てた。芋虫は身体を跳ねさせて、暴れた。

その動きで、蜜蜂は蒲公英から離れて周りを飛び回った。


 芋虫が動かなくなると、足長蜂はその上に乗ってもぞもぞと動いていた。


 騒がしい奴らが来た。足元などは見ないで、芋虫を踏みつぶしてしまった。蒲公英も潰れた。


 残ったのは芋虫の死骸と折れた蒲公英の花だけだった。

それらを踏んだ奴らは、

「紫陽花が綺麗だ」

と言った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ