エピローグ~王の声~
「大小合わせて30を超える国々相手に発生した大戦。我が国は辛くも勝利を勝ち取ることが出来たわけだがそれによって世界は大きく変化したと言える。
我が国は歴史上でも数少ない超大国へと至り、トラキア王国は国土を倍に膨れ上がらせた。
スレンバニア王国はファルザー地方同盟と共に大陸南部の覇者となり、ルセスルセス帝国は南部諸侯を下して統一を果たした。
親帝国陣営の諸国は大きく国力を発展させたがそれで終わりではない。未だ、反帝国陣営の一部は国力を保持している。ハークレー連合にオラウソラス諸島連合帝国。新技術を開発した彼らを警戒しないという選択肢はない。第五次アデリア海海戦を見れば分かるがわが国だけでは両国を海上から落とすことは難しい。
それにガスコーニュ帝国にエトロス王国、この数年で力をつけてきたかの国々の動向にも注意を払わないといけない。西大陸もそうだ。近年では大陸統一を目指す国が力をつけてきている。彼らの動き次第では我らも動く必要があるだろう。
超大国となって終わりではない。それが始まりと言える。
我が国主導の新たな国際秩序を構築し、次世代に引き継ぐ。それが我らの仕事だ」
「王国保安法は成った。これで我らの地盤は盤石なものとなった。帝国との関係は良好だ。
……帝国には歯向かわんよ。元々かの国とは友好的な関係をずっと続けてきたのだ。彼の国が危機に瀕した時に我らは助けたがその恩を見事に返してくれた。お前も聞いていただろう? 大戦前、彼の国の皇帝が自ら我らの元に赴き言った言葉を。
”俺についてこい。そうすれば大国の夢を見せてやる”。正直に言って気でも狂っていたと思ったが奴の目は自信で満ち溢れていた。故に余はアヤツの言葉を信じて共に戦った。ガネリア共和国やアスカル法王国ならともかく周辺国家にわが軍が負けると思っていなかったしな。
そして見事奴らは約束を果たした。今の子らは知らんであろう。中小国程度でしかなかった祖国を。惨めな思いをしていた民たちを。嘲笑され軽んじられてきた王家を。歴史でしかそれらを知らないという事を余はうれしく思っている。我が国はそれだけの発展を遂げ、民たちは豊かになったと証明してくれているのだからな」
「帝国側にたった理由? 簡単だ。負けないと思っていたからだ。確かに大戦はやばかったさ。普通なら負けると思っていたかもしれないが基本的に大国と呼べる敵は北部に集中している。それらは帝国が引き付けている。俺たちは弱ぇ奴等を叩くだけでよかったからな。おかげで俺たちは大量の領土を手に入れた、っつーわけだ。まぁ、最悪帝国が負けていたとしてもあいつらが態々こっちまで来る可能性は低かっただろうぜ。距離が遠いからな! 精々白紙講和で終わるだろうと思っていたけどな!
今後? そりゃ帝国をとても理解し、頼りがいのある友好国として歩んでいくさ。今さらあんなでけぇ国に喧嘩売るつもりはねぇしな。俺らは今の領土で十分だ。これ以上は流石に管理しきれねぇからな。ったく、なんで帝国はあんなでっかい領土を維持できるのか分かんねぇな。使節団でも派遣して導入できそうなもんでも探した方がいいのか?」
「たった一度の大戦で世界は変わってしまった。可笑しいだろう? たかが魔導革命に乗り遅れ、たかが大戦に参加しなかった。それだけでここまでの差が出るのは。たった一度行動しなかっただけでこれだけの差が出るなんて認められるわけがない!
だからこそ、だ。動くべき時は今だろう。大戦に勝って浮かれていたやつらの気が緩む今がチャンスなんだ。見せてやろうじゃないか。大戦に参加しなかった国の実力をさ。世界は誰のものかであるかをな。
先ずはこのくそったれの国を是正し、大陸を統一する! ガスコーニュだろうと中央ファンタジア帝国だろうと俺らの敵じゃないさ。さぁ、始めようぜ。俺らが支配する世界の為に」




