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神聖レーネ帝国

 神聖レーネ帝国という国は大陸でも有数の歴史ある国家であった。最盛期には大陸全土に影響力を持つほどの大国として君臨しており、幾つもの国家を自治領として取り込み、巨大な国家の連合体となっていた。

 その時のレーネは文化の中心地として栄え、それはレーネ文化として現在でも高く評価されている。

 レーネのもとで大成した者たちは多く、芸術的にも最盛期と言われていた。

 この時代は大凡百年にわたり続いたがどれほどの栄華を誇る国もいつかは衰退し、滅びるものである。その因果からレーネも逃れることは出来なかった。

 最初に起こったのは皇帝の座を貴族が奪い取った事が原因だった。当時の皇帝は凡庸であり、国力を少しずつ消耗させていたのだ。それを許せなかった貴族は自分が皇帝となることで帝国の更なる発展を目指そうとしたのだ。しかし、そうして皇帝の座に就いた者を他の者達が簡単に受け入れるわけがなかった。大半の貴族たちは反対し、中には自分が皇帝になろうとする者まで出現し始めたのである。この動乱は40年に渡り繰り広げられ、神聖レーネ帝国の黄金期は終わりを迎える事となった。

 後に40年戦争と呼ばれるようになるこの動乱で神聖レーネ帝国の領土は大幅に縮小し、各地の自治領は独立していった。最終的に皇帝は元々の皇族が君臨することとなったがこの動乱による呪いでもあったのか、5代に渡り愚帝と呼ばれる無能皇帝が相次いで即位し、神聖レーネ帝国の国力は更なる急降下を見せた。

 そして、神聖レーネ帝国の衰退を決定づけたのが魔導革命の発生だった。魔導技術が大幅に一新され、各地の国々がこの流れに乗る中で神聖レーネ帝国は乗ることが出来なかった。当時は保守的な国政を打ち出しており、魔導革命を否定して導入を拒んでいたのだ。

 結果、神聖レーネ帝国は旧時代の異物として取り残される事となった。各国が魔導技術による大量生産を実現する中で神聖レーネ帝国では手工業による生産が主流のままとなっていた。その差はあっという間に広がり、その辺の小国にさえ劣る程神聖レーネ帝国とそれ以外の国では国力が広がってしまっていたのだ。

 そのことにレーネが気づいた時には全てが遅かった。レーネは時代に取り残された遺物と化し、いつ滅びてもおかしくはない状況になっていたのだ。そこまで来て漸くレーネも魔導技術の導入を始めたが研究さえまともに行われていないレーネは遅々として進まず、中央ファンタジア帝国との戦争が勃発していた。

 この戦争はレーネがいかに遅れているかを世界に知らしめる結果となった。何しろ最初から最後までレーネとは戦いらしい闘いが発生していなかったからだ。


「レーネとは本当に開戦しているのか? 謝って奇襲を仕掛ける形になっていないか?」


 レーネの弱さは前線司令部が宣戦布告の通達をしていないと不安にさせるほどであり、この確認の為に進軍が1週間ほど止まるほどだったが結局レーネは抗う事が出来ずに和睦を余儀なくされた。これにより神聖レーネ帝国が最後まで守り抜いたアデリア海の制海権は全て喪失し、それに接するいくつかの土地を奪われる事となった。

 レーネはこの敗北を受けて更なる技術革新を進めたがそれらが成果として形になる前に大陸は大戦が勃発した。歴史上でも類を見ない世界規模での戦争。大半の国家が参戦する激戦に当然といえば当然だがレーネは中立を宣言した。レーネでは他国と戦う戦力をねん出できなかったからだ。せめて10年は欲しかったというのがレーネ上層部の総意であった

 しかし、レーネの中立化宣言はガネリア共和国にとっては不都合な事だった。何しろレーネは反帝国陣営と中央ファンタジア帝国との間に位置しており、全方位から攻めるにはレーネが中立でいる事は仏富豪であったのだ。

 味方であれば良し、敵であればそれはそれでよし。その考えの元ガネリア共和国は神聖レーネ帝国に対して参戦することを要請した。


「神聖レーネ帝国は今すぐ中央ファンタジア帝国に対して宣戦布告せよ。布告しない場合は我らの敵とみなし、侵攻する」


 どちらであっても地獄には変わりはなく、神聖レーネ帝国は不承不承ながら中央ファンタジア帝国に対して宣戦布告した。当時は帝国が確実に敗北すると言われている程戦力差は圧倒的であり、レーネは勝ち馬に乗ることを決めたのだ。帝国との戦争で色々と奪われていたという面も関係しているがともかくレーネは帝国と再び戦争をする事となったのだ。

 だが、当時から軍事方面は全く変わっていないレーネは待っていたと言わんばかりに国境に展開していた帝国軍の怒涛の侵攻を受けた。その動きはかつての戦争よりも素早く、レーネはまたしても大した抵抗も出来ずに帝都を含む全土を占領される事となった。更に同時期には帝国軍の猛進撃が始まっており、反帝国陣営による国土の奪還が行われる可能性は限りなく0に近い状態にあった。そして、そのままレーネの土地が解放される事は無く大戦は終結することとなった。

 神聖レーネ帝国は一度は中立を宣言したのにそれを撤回して宣戦布告をしてきたとして解体と全土併合が決まり、レーネという長い歴史を持つ国家は終わりの時を迎えた。皇族たちは帝国領内の全く関係ない場所で軟禁生活を強いられており、レーネという国が遥か太古に存在した国というレベルまで認識されるまで続く事となった。

 レーネの土地は戦後に様々な企業が参入しており、レーネの時とは比べ物にならない程発展を遂げつつあった。彼らはレーネ時代には味わえない文明の利器に囲まれながら貧しい生活を遠い過去の出来事にして今日も豊かな暮らしを楽しんでいる。


挿絵(By みてみん)

神聖レーネ帝国の国旗です。モデルは見た通り神聖ローマ帝国とプロイセンになります。

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