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各々の戦場




焦げた村の残骸の中――

吉田影丸は、不破ばしんと対峙していた。


影丸「お前ら……なんでここに来た?」


不破はニヤリと口角を上げ、白い歯を見せる。


不破「上からの指示だよ。この島には“リツの村”があったからな」


影丸の目が険しくなる。


影丸「……知ってたのか。村人は?」


不破「もうとっくに攫ったよ。全員。カゴに詰めて連れて帰った。今ごろ空だ!」


豪快な高笑いが空気を震わせる。


影丸「……クソッ!間に合わなかったか……!」


その時――


「きゃああああああ!!」


美香の叫び声が響いた。

影丸が振り返ると、美香の背後に一人の男が立っていた。

漆黒の鋼のような肉体、無表情に近い厳つい顔――


第四部隊副隊長、黒鉄鉄也だった。


影丸「黒鉄……!」


美香「だ、だいじょうぶ……なんとか、避けられたと思う」


黒鉄は無言のまま、美香に向き直る。


黒鉄「……俺の獲物は、お前だ」


不破が口を開いた。


不破「ロックオンされたな。あいつの攻撃からは、もう逃れられんぞ」


影丸の表情が険しくなる。


不破「黒鉄の能力は、“貫かない意志”そのものだ。守ると決めたものは砕かれず、打つと決めたものは砕く。鉄の精神が、鉄の肉体を作り上げた。ガードと攻撃の二択、シンプルなガマン勝負だよ」


黒鉄「逃げない、躱さない、守る。そして打つ。それが俺の戦い方だ」


美香は一歩前に出る。


美香「いいわよ……。リツの力、見せてあげる!」


影丸がちらりと笑う。


影丸「ガマン勝負か……あいつ、意外といけるかもな」


不破「人の心配か? ――いくぞ、影丸!!」


影丸「来い、不破!」


刹那、2人の気配が変わった。

重力すら歪むかのような殺気と、空気が震える気配。


不破 の能力は破滅式はめつしき 粉砕拳ふんさいけんあらゆるものを「粉々に砕く」ことに特化した破壊の化身。


影丸 の能力は影式 音殺陣おんさつじん

音を自在に操り、気配を完全に消し、振動で攻撃を変化させる暗殺術。


――激突!


影丸「影式・音波拳!」


不破「粉砕拳・零式!」


拳と拳がぶつかり、空気が爆ぜた。


ドゴォォォン!!


地面が砕け、衝撃で空気が弾け飛ぶ。

肉体と肉体の、技と技の、真っ向勝負。


何発も何発も、拳が交錯する。


不破「お前の音なんざ……粉砕すればただの無音だ!!」


影丸「音は殺すものじゃねぇ……刺すもんだろ?」


音が不破の鼓膜を貫いた。

一瞬、体勢が崩れかけたその瞬間――


影丸「影式・無響連撃!!」


不破の背後に瞬間移動するように現れ、連撃を叩き込む!


不破「効かねえよ!!」


不破が爆発のような拳で吹き飛ばし返す。


戦場は、殴り合いではなく“破壊し合い”へと変わった。




一方、黒鉄と向かい合う美香。


黒鉄「攻撃、ガード、それ以外は不要。削り合いの覚悟、できてるか?」


美香「いいよ……私も今、どこまで通用するか試したいの!」


ゴンッ!!


美香の拳が黒鉄の顔に命中!


だが――


「痛くない」と言わんばかりに、黒鉄はビクともしなかった。


黒鉄「ガード」


ガンッ!!


黒鉄の拳が美香の腹部に炸裂!


美香「ッぐ……!」


それでも踏ん張る。


黒鉄「もう一発!」


ゴンッ!


「く……!」


それでも、美香は立っていた。


美香「……なめないでよ。私だって……ここで折れるわけにはいかないんだからッ!!」


不器用ながらも、確かに成長した拳が火花を散らす!




その頃、迅は双子との戦闘中だった。


迅「……早く終わらそう。名前も聞いてないし、別に興味もねぇ」


双子「この野郎ォォ!!」


迅「黒式略称・ブラックホール」


ズゥゥゥン……


空間にぽっかり開いた闇の穴に、双子は吸い込まれていった。


双子「うわああああああああ!」


……呑まれる音。沈黙。


迅「めんどくせ……終わり」


その場に黒い影だけが残る。


迅「烈火の相手……黒霧だったよな。アイツまだ生きてんのか?」


「……死にかけてるな、たぶん」


迅「黒式転移術・ホール to ホール」


闇の穴が出現し、迅の身体を別戦場へと転送する。


着いた瞬間――


迅「やべ、間に合え――!」


「ブラックホール!」


――烈火に迫っていた必殺の溶岩バズーカを吸い込んだ。


烈火「おっせぇよ、マジで死ぬとこだったぞ!」


迅「いや、お前が遊んでたからじゃん。ちゃんと呼べよ」


烈火「バカ!お前が先に来い!」


迅「……うるせー。とりあえず生きてりゃいいんだよ」


2人のツッコミが、戦場の緊張を一瞬だけ和らげた。

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