表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/43

村の異変



島の中心部へと向かった美香たち。

ジャングルのように生い茂る木々の奥に、異様な光景が姿を現した。


そこには巨大な岩壁がそびえ、中央にぽっかりと穴が開いていた。まるで何かを飲み込もうとするかのように。


影丸はその前で足を止め、重くつぶやいた。


影丸「この穴から……感じるな。嫌な気配が」


美香「どのくらい……ヤバそう?」

美香が小さく尋ねる。緊張からか声が震えていた。


迅がため息をつく。


迅「怖いなら、ここで待っててもいいんだよ?」


美香「……大丈夫」

美香は拳を握りしめ、一歩前へ出た。


影丸「行こうか」

影丸の合図とともに、一行は岩の穴へと足を踏み入れた。



穴を抜けた先には、まるで隠された集落のような場所が広がっていた。だがその村は――


半壊していた。


家屋は崩れ、焼け焦げた痕跡があり、かつて人が暮らしていた気配だけが濃密に残っている。だというのに、肝心の人間の姿はどこにもなかった。


影丸「…何があったんだ?」

影丸は周囲を警戒しながら呟いた。


影丸「リツの暴走か?」

そう言うと、影丸は部下に指示を飛ばす。


影丸「烈火、鬼蔵、迅は周囲の状況確認と住人の捜索だ。美香は俺と一緒に来い」


烈火・鬼蔵「ラジャ!」


迅「了解!」


美香もうなずき、影丸の後を追った。


村の中には、まだ温もりすら残る食事の跡、干しっぱなしの洗濯物、火の消えたばかりのかまどがあった。だが――


影丸「…おかしいな。ついさっきまで人がいたような……」


その瞬間だった。


背後から、ぞっとするほどの殺気が襲う。


「――吉田影丸ッ!!」


怒声と共に、一陣の風のように現れた影。


影丸は咄嗟に反応し、美香を背後に庇った。


影丸「!  誰だ!?」


その声の主は、黒の軍装に身を包んだ壮年の男――第四部隊隊長、不破ばしんだった。


影丸「…なぜお前がここにいる!?」


不破「上からの命令だ。まさかこんな辺境でお前と鉢合わせるとはな」

不破は美香の姿を見やる。


不破「ふむ。後ろの娘が例の“ミカ”か……」


影丸「…チッ。見えてやがるか」

影丸は歯噛みする。


影丸「ここでお前を倒しておかないとな。美香、隠れろ!」


不破「ほう……俺に勝てるつもりか?お前、序列を忘れたようだな」


その頃、散開していた部隊員たちにも、異変が起きていた。



村の外れ。


烈火が立ち止まり、前方に立つ人影を見て声を上げる。


烈火「お前か! 黒霧亜蘭!」


長身でマントを纏い、顔半分を仮面で覆ったその男がニヤリと笑う。


黒霧「ほう、名前を覚えていたとはな。意外だ。お前、頭空っぽだと思ってたよ」


烈火「うるせぇーよ!!」


烈火が叫び、拳を握りしめる。


一方――


鬼蔵の前にも、異形の男が立ちはだかる。


鬼蔵「誰だ貴様ッ!」

即座に殴りかかる鬼蔵。だが相手は軽く受け流す。


異形の男「誰かも分からず殴るとは、相変わらずだな、鬼蔵」


そして迅の前には、双子のように瓜二つの男が現れていた。


迅「はぁ、願わくば誰にも会いたくなかったのにな。よりによってお前らかよ……」


双子のどちらかが嘲笑した。


双子の男「なんだその覚え方! まぁいいさ、ザコはザコらしくさっさと沈んどけ!」


迅が首をゴキリと鳴らす。


迅「そーだな。一瞬で終わらせてくれ。面倒くさいのはごめんだ」



村には住人の姿はなかった。


だが、代わりに現れたのは直属部隊――室田財閥直属の、精鋭部隊たちだった。


影丸「  始めるか」

影丸が刀を抜く。


同時に、他の場所でも刃が交わり始める。


かつての仲間同士、もしくは顔見知りとの戦い。


だが、今は容赦などできない。


それぞれの信念と命が、交錯する。


そして――

死闘が始まった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ