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加賀の悪行



浩一郎「とりあえず、美香を起こすか」


浩一郎が呟くと、すぐに鬼蔵が手を挙げた。


鬼蔵「す、すみません!オレが優しく起こします!」


目に見えて申し訳なさそうな表情で美香に近づく鬼蔵。しかし――。


美香「ん……ん? イテテ……」


美香がゆっくりと目を開け、状況を確認しようとした瞬間――


美香「きゃああああああっ!」


バゴォォォンッ!!


反射的に鬼蔵を拳で殴り飛ばしていた。その拳は壁を貫通し、大きな穴を空ける。


鬼蔵「ぶねえぇぇっ! 死ぬかと思った!」


壁に突き刺さるように吹っ飛ばされた鬼蔵が叫ぶ。


いろは「これがリツの真の力……すごいね」


副隊長のいろはが感心したように呟く。


美香「えっ、軽く殴っただけなんだけど……!」


美香は自分の力に驚いていた。周囲では他の隊員たちが口々に「ヤバい」「強すぎ」と騒いでいる。


美香「お父さん? この人たちは誰? 私たち捕まったの?」


浩一郎「違うよ、美香。みんな味方だ。――この人はな、吉田影丸。お父さんの友達で、さっき話しただろ?」


美香「運動神経抜群だけどおっちょこちょいの人?」


「おいっ!」影丸が苦笑しながら突っ込む。


影丸「どんな説明だよ。合ってるけど、間違ってる!」


影丸「まあいいや。こいつらは俺の部下だ。右から順に――」


影丸の合図で、副隊長のいろはが前に出る。


いろは「副隊長の神楽いろはよ。よろしくね」


続いて他の隊員たちも自己紹介を済ませる。


美香「よろしくお願いします!」

美香はぺこりと頭を下げた。


美香「なんか……すごい人たちだね」


「だろぉ!?」烈火がドヤ顔で胸を張る。


烈火「俺たち、すっごいんだぜ?」


その姿に、美香は思わずクスッと笑った。


すると、いろはが真剣な顔で尋ねた。


いろは「ところで、美香ちゃん。すごい力を持ってるみたいだけど、その力、制御できるようにしたい?」


美香「……できるように、したいです!」


いろは「なら、私と修行しない?」


美香「いろはさんと修行……はい、やります!」


浩一郎「いいじゃないか。教えてもらいなさい」

浩一郎も嬉しそうに背中を押す。


影丸が他の隊員たちに声をかける。


影丸「迅、お前らもちゃんと見てやれよ。サボんなよ?」


迅「うっ……わかりました」

黒澤迅が少ししょげる。


その後、さっそく修行が始まり、掛け声や地面を叩く音が館の裏手に響き渡った。


──


館の奥、静かな部屋で。


影丸「浩一郎、ちょっといいか? 伝えておきたいことがある」


浩一郎「なんだ?」


影丸の顔が少しだけ険しくなる。


影丸「お前が研究所を去ってから、加賀が……ヤバい物を作った」


浩一郎「なんだ?」


影丸「リツの力を限定的に使える”っていう、**魔の丸薬《魔丸まがん》**をな。俺たち直属部隊は、戦闘中にそれを服用しまくってた」


浩一郎「なんでだ!大丈夫なのか?」


影丸「それだけじゃない。副作用がえぐい。使えば使うほど命を削ってる。命の火を燃やして、強さを得てる感じだ。だから頼む。お前なら、改良できるんじゃないか?」


影丸の目は真剣だった。


浩一郎は拳を握りしめ、答える。


浩一郎「……やってやる。加賀の悪行には、俺も怒りを感じてた。お前たちの命、絶対に救ってやる」


影丸「ありがとう……やっぱお前は俺の友達だ」


影丸が穏やかに微笑んだ。


その背後では、いろはの大きな掛け声と、美香の力強い返事が響いていた。


いろは「まだまだ行くよ、美香ちゃん!」


美香「はいっ、いろはさん!」


新たな仲間、新たな修行、新たな目的。


戦いの準備は、着実に整っていく――。


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