【プロットタイプ】布石を打つ
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
上手い回答が出来ない人間なので、感想欄閉じてます。
これは読者様の問題ではなく、私の問題。
詳しく知りたい方は代表作の『作品と作者の注意点』に書いてあります。
注意事項2
果たされない約束とか、渡せない贈り物とか、あえて残しておくんですよ。
まだ果たされて居ない約束。まだ渡せていない贈り物。そんなものが沢山ある。けれども其れで良い。なんなら私が死ぬまで果たされなくても、渡せなくても良いとさえ思っている。
其れは果たしておかしな事であろうか。
鏡花は俺以外にも特別に思っている人間がいる。其れは諭羅に向ける様な親愛の感情ではない。恋愛に限りなく近いものである。
その事は俺も知っているし、その事に関して此方側から反対したり、邪魔したりする事はない。なんなら其れを認め、さり気なく観察しているまでもある。
どうやらまたその『友人』と会う約束をしているらしく、甲斐甲斐しくプレゼントを用意する。
嬉々として並べているのは文鳥のペンや栞、ノートなどの文房具であった。
「それ」
「おわっ」
驚いて椅子から飛び上がる。投げかけた栞をすんでのところで留め、此方を振り返った。
「今度会う時の奴か」
「……そうだよ」
鏡花からその『友人』について話す事は少ない。罪悪感から出掛ける予定が入った時にしか知らせない。逆に俺からその『友人』に対して話を振ると、申し訳なさそうに返事をする。
「この間色々貰ったからそのお返し。あの子、今のマイブームは文鳥だから」
最近手当り次第に文鳥の雑貨を買い集めて居たのはそのせいか……。そう言えば今、鏡花が眺める文鳥の栞は、俺とよく行く雑貨屋で売られていたものだ。
今度こそ、そのお前が気に入る雑貨屋に行けるのだろうか。その友人とやらは何時も忙しく、鏡花が連れ出したい街へはまだ共に出掛けていないらしいから。
「でも、一つだけ手元にあっても良いかな」
「何故? 渡す為に買い集めたんだろ」
来る日も来る日も、会いたくて集めたんだろ。楽しみにしていたんだろ。先送りにしていたら、渡せなくなんぞ。未練抱えたまま生きるか、死ぬことになんぞ。
そう聞くと、鏡花は少し考える様に口を噤んだ。栞を手で弄びながら、譫言の様に呟いた。
「ほら、なんて言うかな、また約束出来るじゃない? 『まだ渡せてない物があるから、また遊ぼう』って。……布石だよ……。無意味かも知れないけど」
そう言って、栞だけ弾いて鞄に入れていく。また会える願掛けとして。布石として。
鏡花の後ろめたい視線を感じたので、取り敢えず。
「俺の事は気にするな」
大事に思う気持ちは何時までも持っていろ。
果たされない約束とか、渡せない贈り物とか、そんなものが沢山あるんですよ。
死ぬまで果たされなくて、渡せなくて良いと思ってます。
ただ会う為の言い訳です。ただの布石です。
だから約束や贈り物を人質にしてるんです。
瑠衣に対しても同じことしそうだな。
今は傍に居てくれてるから、する必要がないだけで。
結構、手段は選ばないと思うよ。