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9話 炸裂! サラの超魔力! フュリスの意外な弱点⋯

読者の皆様、作者の大森林聡史です。

この度は、この小説を気にかけていただきありがとうございます。

よろしければ、内容もお読みいただけると幸いです。

宜しくお願い致します。

【クエスト オブ サンハルト 9話】


 「グオオオンッ!!」


 ゴーレムの雄叫びと共に、パンチがフュリスの眼の前で止まった。


 「え⋯? な、何ともないわ⋯」


 フュリスが不思議そうに見上げると、ゴーレムの腕が燃えていた。


 「ファイアーボール!」


 更に火の玉が飛んできて、ゴーレムの腕を燃やす。

 フュリスが火の玉が飛んできた方向を見ると、サラの手のひらから煙が出ていた。


 「ファイアーボール!」


 更にサラは、火の玉をフュリスの足元目掛けて打ち出し、フュリスの足元の氷を溶かした。


 「ありがとう! サラ! 助かったわ!」

 「ううん! お姉ちゃんには命をたすけられてるから!」

 「ありがとう、サラ。もっと強力な火炎魔法を使える?」

 「フレイムカノンなら使えるよ」


 フレイムカノンとは、あのマフィも使った高圧火球の魔法だ。


 「私がゴーレムを引き付けるから、フレイムカノンをお見舞いしてくれる?」

 「うん!」


 フュリスはサラに微笑むと、ゴーレムに接近し注意を引いた。


 「火の精よ⋯あつまって炎となり、大きな火の玉になって⋯」


 サラの手のひらに炎が巻き起こり、どんどん勢いが増していく。


 「火の精よ…さらにあつまってわたしの敵をやっつけて!」


 炎が凝縮し、周囲の空気が揺らめいた。


 「フレイムカノン!」


 サラの掛け声とともに、手のひらから一気に高圧火球飛び出し、アイスゴーレムに直撃した。


 「ウオオオンッ!」


 アイスゴーレムの全身に炎が包まれ、氷が溶けていく⋯やがて、完全に蒸発し消えた。

  

 「す、凄い⋯」


 フュリスは、サラの魔法の威力に感嘆した。


 「凄いじゃないサラ! ここまでの威力があるなんて思わなかったわ」

 「えへへ⋯ありがとう」


 サラは、褒められて照れて頬が少し赤くなった。


 「さぁ、行きましょう!」

 「うん!」


 フュリスとサラは、更に西に向かい、やがて日が暮れた。


 「今日はここで野営ね⋯」

 「うん」

 「サラは平気?」

 「うん、わたしは大丈夫。お父さんの漁についていって船で何日も旅したこともあるよ」

 「へぇ〜、たくましいわね」

 「えへへ⋯」


 サラは、あどけない笑顔を浮かべた。

 それは屈託が無く、可愛らしい笑顔だった。


 (サラって可愛いなぁ⋯こんな妹がいてくれたら楽しかったでしょうね⋯)


 フュリスは、あどけなく笑うサラを見て微笑んだ。


 「さぁ、ご飯にしましょうか?」

 「うん!」


 この日は、固いパンと、魚の干物を焼き、山菜を切って味噌で煮込む予定で、フュリスが、ナイフで山菜の皮をナイフで剥こうとしたが⋯


 「お、お姉ちゃん! ゆび切っちゃうよ!」

 「え? そ、そうかしら?」


 フュリスのナイフを持つ手は、危なっかしく、サラの言う通り、皮どころか自分の指まで真っ二つになりそうだった。

 フュリスの手のひらには切り傷の痕がたくさんあった。

 戦闘では、拳を握るため手の甲に傷がついても、手のひらにつくことはあまりない。

 料理中に切ったものがほとんどだった。


 「そうだよ! あぶないから貸して」


 サラは、フュリスからナイフを取って皮をむき始めた。

 皮が、途中で途切れること無く綺麗にむかれていく。


 「上手ね」


 フュリスは、感心した。


 「お姉ちゃん、ナイフのもち方知ってる?」

 「こうじゃないの?」

 「違うよ、刃を内側にもって、親ゆびで皮をむくの」

 「そうなんだ⋯」

 「ちょっとにぎってみて」

 「ええ⋯こうかしら?」

 「うん、そう。この山菜をわたしがやったようにむいてみて」

 「ええ⋯」


 フュリスは、少し手元がぎこちないが、先程より、格段に危なっかしさが無くなった。


 「むけた⋯!」


 フュリスは、感嘆の声を上げた。

 実は、フュリスは、山菜の皮むきをするといつも実が小さくなってしまっていたのだが、今回はほぼ皮だけをむくことができた。


 「うん、きれいにむけたね」


 その様子を見たサラは、ニコニコ笑っている。

 その後、フュリスはサラに魚の焼き方を教わり、美味しく夕食を食べた。


 「美味しかった…」


 フュリスは、瞳をキラキラさせている。


 「村のさかなは、とくにおいしいでしょう?」

 「ええ⋯それに⋯」

 「それに?」

 「わ、笑わないで聞いてくれる?」

 「うん、笑わないよ」

 「わ、私ね、魚を焼くといつも焦がすか、生焼けになっちゃうの⋯」


 フュリスは、頬を赤らめて呟いた。


 「あははは! そうなんだね〜!」

 「もう! 笑わないでって、言ったのに⋯」


 フュリスは、口を尖らせてすねた。


 「ごめんね! かっこいいフュリスお姉ちゃんにそんな一面があったなんていがいで⋯」

 「カッコいい? 私が!?」

 「うん、かっこいいよ、フュリスお姉ちゃんは。それに⋯」

 「それに?」

 「美しい⋯よ」


 サラは、顔を赤くして呟いた。


 「褒めすぎよ」


 フュリスも顔を赤くした。


 「わ、わたしにとって⋯憧れなのフュリスお姉ちゃんは⋯」

 「そ、そうなの⋯」


 フュリスは、年下の女の子から憧れと言われた事は、初めてで戸惑ったが、嬉しさもあった。

 また、サラも顔は真っ赤だった。

 好きな男の子に告白したように。


 「だから⋯むりを言ってついてきたの」

 「そうなのね⋯ありがとう。サラ」


 フュリスは、優しく微笑んだ。


 (これ! あんなうつしいお顔でやさしく微笑んでくれるフュリスお姉ちゃんは⋯女神様みたい⋯)


 サラは、思わずうっとりとした。


 「そろそろ寝ましょうか?」

 「うん!」

最後まで読んでいただきありがとうございました。

長い文章に、お付き合いいただき、心より感謝申し上げます。

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