8話 フュリスの方向音痴は筋金入り!? 強敵出現!
読者の皆様、作者の大森林聡史です。
この度は、この小説を気にかけていただきありがとうございます。
よろしければ、内容もお読みいただけると幸いです。
宜しくお願い致します。
【クエスト オブ サンハルト 8話】
「お姉ちゃ〜ん、そっちじゃないよ! こっちだよ」
「え? そ、そうなの!?」
漁村を旅立ってすぐに、フュリスはサラに呼び止められた。
西に向かうところをいきなり北に向かおうとしたのだった。
「お姉ちゃん、わたしが先に行くからついてきて」
「はぁい⋯」
フュリスは、顔を赤らめ恥ずかしそうに答えた。
そうして、半日程歩いた。
フュリスは、魔物の気配を感じ取った。
「サラ! 私の後ろに下がって!」
「う、うん!」
フュリスの身長の3倍はあろうかという、巨大な氷の巨人、アイスゴーレムが現れた。
(よりによって嫌なやつが⋯)
フュリスの顔に冷や汗が滴った。
「お姉ちゃん?」
「サラ⋯下がってなさい⋯」
サラは、言われた通り下がった。
ゆっくりとアイスゴーレムがフュリスに迫り、ゴーレムは腕を大きく振りかぶり、フュリスに殴りかかった。
フュリスは、飛び上がってパンチを避け、パンチは地面を抉った。
「ヤーッ!」
フュリスは空中で一回転し、飛び蹴りを放った。
ゴーレムの頭を捉えたが、ゴーレムはビクともしなかった。
(やっぱり効かない⋯!)
すかさず、ゴーレムがフュリスを捕まえようと手を伸ばしてきた。
「くっ!」
すぐにフュリスは、その場を蹴って離れた。
ゴーレムは、フュリスのブーツをかすめたが捕まえられなかった。
「あっ!」
フュリスは、ブーツにかすった事で体勢を崩されたが、空中で立て直し着地した。
「ムウゥゥゥ⋯! 風よ! 集いて回れ! トルネード!!」
アイスゴーレムの足元から竜巻が巻き起こった。
ピシピシとゴーレムの全身に亀裂が入っていく⋯
しかし、アイスゴーレムは全身から冷気を放ち、直ぐに亀裂が塞がった。
そして、竜巻の中を何事もないかのように進んでくる。
(トルネードでもダメなの⋯!?)
フュリスの表情に焦りが見え、冷や汗が次々と滴り落ちた。
(いつもなら、こいつとの戦いは避けるのだけど、今日はサラがいるわ⋯どうしたらいいの?)
フュリスの攻撃手段は、素手と氷、風、聖魔法だった。
アイスゴーレムに素手と氷、風魔法は通じず、聖魔法ならば効果がある可能性があるが、魔力をためる時間が必要な上、消耗が激しく使いたく無かった。
そのため、いつもフュリスは素早さを生かし、隙を見つけて逃げるのだが、前述の通り、今日はサラがいて置いて逃げるわけにもいかなかった。
アイスゴーレムの足元から、白い霧が染み渡り、草原が凍り付いていく。
アイスゴーレムは、重い足で地面を揺るがしフュリスに迫った。
(距離をとらないと⋯えっ!?)
フュリスの足が動かない。
足元が凍り付いていたのだ。
「あっ⋯!」
フュリスは、見上げるとゴーレムはもう目の前まで来ていた。
ゴーレムは、右腕を大きく振りかぶり、勢い良く振り下ろした。
「くっ…!」
フュリスは、必死に防御の体勢を取ったが、ゴーレムの剛腕の前では、フュリスの腕はあまりに細い。
(ダ、ダメだわ⋯やられる⋯!!)
最後まで読んでいただきありがとうございました。
長い文章に、お付き合いいただき、心より感謝申し上げます。