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7話

【クエスト オブ サンハルト 7話】


 (どういうわけか、接近戦を仕掛けてこないわね⋯じゃあ、魔法を封じるか)


 「サイレス!」


 フュリスは、魔法封じの魔法を唱えた。

 フュリスの手のひらから、魔法封じの波紋が空気を伝わっていく。


 「こ、こしゃくな…!」


 マフィは、慌てて飛び退いた。


 「まだまだ⋯!」


 フュリスは、連続でサイレスを唱え、次々と魔法封じの波紋が空気中を伝わっていく。

 

 「うっ⋯くっ⋯!」


 マフィは、何とか波紋を避けている。


 「隙あり!」


 フュリスが一気に接近し、手刀を見舞った。

 マフィが魔封じの波紋に気を取られている隙をついたのだった。


 「うわっ!」


 マフィは、ギリギリ何とか身をかわした。

 マフィの髪を手刀が捉え、数本の髪の毛が宙を舞った。


 (こ、このままではいつかやられるか、魔法を封じられる⋯! 魔法を封じられると逃げも苦しいか。ならば⋯)


 「こ、今回はこれで引いてやるが⋯フュリス! この借りは必ず返す!!」


 マフィは、魔法陣の中に消えた。


 「消えた⋯やけにあっさり引いたわね⋯」


 フュリスは、何かあるのか?と疑問を抱きしばらく警戒していたがらその後も何も起こらなかった。


 「いつまでもここにいても仕方ないか」


 ひとまずフュリスは漁村に戻った。

 無事に戻ったフュリスを見て、漁村民達は歓喜に湧き宴が開かれた。

 翌朝、フュリスの元へ漁村長が現れた。

 

 「フュリス殿、魔物を退治していただきありがとうございました。これでこの村も救われるでしょう」

 「はい。そうだと良いのですが⋯」

 「何か気になる事があるのですか?」

 「はい。生け贄の魔物は、マフィという女だったのですが、逃げられてしまったのです。また来るかも知れません」

 「なるほど、そうでしたか⋯ですが、ひとまず追い返しただけでも良いと思います。さて、フュリス殿は、エビウスを倒すため旅をしておられるとか⋯」

 「はい。そうです」

 「これは、村の宝でその昔、聖戦士がこの村を救ってくれた時に残していった物です。旅のお役に立つかも知れません。お持ち下さい」

 「はい! ありがとうございます」


 村の宝は、ライトブルーの金属にグリーンの装飾が散りばめられた美しい腕輪で、破邪の腕輪といった。


 「ところで、ドラゴンズタワーというところに向かう途中だそうですね」

 「はい、そうなんですが⋯見つからなくて⋯この辺りにあると聞いてるのですが⋯」

 「はて? この漁村は昔からありますが、この周辺に塔はないですぞ」

 「え? そんなはずは⋯サンハルトから西と聞いてたのですが⋯」


 漁村長は、目を真ん丸くして驚いた。

 

 「フュリス殿、サンハルトから西にドラゴンズタワーがあるのですか?」

 「はい。お告げではそう聞いております」

 「この漁村は、サンハルトから東にありますぞ」

 「え?」


 今度は、フュリスが目を真ん丸くして驚いた。


 「も、もしかして、方向が逆って事でしょうか⋯?」

 「お、恐らくは…」


 漁村長は、今にも吹き出しそうになっているが堪えている。


 「それで、今まで着かなかったんだ⋯」


 フュリスは、合点がいったように手をポンと叩いた。

 そして、すぐに顔が真っ赤になった。


 「ずっと、反対方向に行ってたのに気づかないなんて⋯」


 フュリスは、恥ずかしそうに肩をすぼめて話した。


 (フュ、フュリス殿は、聖なる乙女と聞くが、心も清らかで、純粋なのだろかのぅ⋯?)

 

 村長は、見つめた。


 「そうと分かればこうしちゃいられないわ! 引き返さなきゃ!」

 「お待ち下さい。地図と案内人を付けましょう」

 「あ、ありがとうございます」


 しばらくすると、少女が入ってきた。

 フュリスは、その少女を見たことがあった。


 「サ、サラ?」

 「フュリスお姉ちゃん」


 サラは、満面の笑みでフュリスを見つめた。

 サラは、先日の布の服では無く、革製の帽子を被っていて、旅用に丈夫な布で編まれたワンピースを着て、革のブーツを履いていた。

 更に両手に打撃武器としても使える樫の杖を持っていた。


挿絵(By みてみん)


 「フュリスお姉ちゃん、ありがとう。魔物をおいはらってくれて」

 「え、ええ⋯あ、あなたが案内をしてくれるの?」

 「うん!」

 「私の旅は危険よ⋯魔物とも戦うし⋯」

 「大丈夫だよ、そこらの魔物にはまけないもん」

 「でも⋯」

 「フュリス殿、実はサラは魔法使いでございましてな。生け贄の魔物程ではございませんが、攻撃、回復、移動魔法の使い手で、我が村で一番安全に道案内ができる子なのです」

 「そ、そうなの!?」


 フュリスは、驚きその後、サラをじっと見つめた。


 「⋯確かに強い魔力を感じるわ」

 「うん!」

 「分かったわ⋯でも危険な敵が現れたら隠れるのよ」

 「分かった!」

 「じゃあ、よろしくね。サラ」


 フュリスは、にこやかに微笑んで、手を差し出した。


 「うん! よろしくね! お姉ちゃん」


 サラは、フュリスよりも一回り小さな手で握手した。

読んでいただきありがとうございました。


本文は、サラの衣装は皮のワンピースとなっていますが、しっくり来なかったので、全然違う衣装になってます。

ご了承下さい。

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