15話 少女との再会⋯そして⋯
読者の皆様、作者の大森林聡史です。
この度は、この小説を気にかけていただきありがとうございます。
よろしければ、内容もお読みいただけると幸いです。
宜しくお願い致します。
【クエスト オブ サンハルト 15話】
「ここね⋯」
フュリスは、エビウス城の前にたどり着いた。
「行くわよ!」
フュリスは、正面からエビウス城に突入した。
行く手を数々の魔物が阻むが、聖竜の爪、聖竜の聖衣を身に着けたフュリスの前に相手になる魔物はおらず、無人の野を駆けるように駆け抜けていった。
「待ちな⋯フュリス」
「マフィ!」
「ここに来るまでずいぶん時間がかかったようだね⋯道にでも迷ったのかい?」
「う、うるさいわね!」
「おや? 図星かい?」
フュリスは、アラモスに地図に印をつけてもらったものの、方角が分からずドラゴンズタワーから5日の距離を15日もかかったのだった。
「あなたが私の相手!?」
「フフフ⋯違うね」
「どういう事!?」
「これを見なよ」
「あっ⋯! サ、サラ!」
フュリスの目の前に、昏睡しているサラが魔物に捕らえられていた。
マフィは、サラのワープの魔法の最中に空間を歪め捕らえたのだった。
「この娘の命がどうなっても良いのなら好きにしなよ⋯」
「く⋯! 卑怯な!!」
「フフフ⋯どうする事もできないようだね。装備を捨てな」
「くっ⋯!」
フュリスは、聖竜の爪と聖衣を捨てた。
「魔物達よ、そいつの手足を縛りな」
魔物達は、頑丈な鎖を持ってフュリスを縛ろうとした⋯
「どこ触ってるの!?」
「ミッ!?」
魔物は、思わずフュリスの豊満な胸に触れてしまい動揺した。
「何やってんだい! 早く縛りな!!」
「ミーッ!」
魔物はフュリスの手首、足首を鎖で縛った。
「私をどうする気!」
「さぁね⋯エビウス様に聞きな。ひとまず牢獄に入れろとの命令だ。早速入ってもらうよ」
「キャーッ!」
マフィはフュリスに時空魔法をかけ、異空間に飛ばした。
「ここは⋯どこ⋯?」
次にフュリスが気が付くと、そこは真っ暗な場所だった。
闇夜に目が慣れてくると、鉄格子が見える。
「こんな物、魔法で⋯!」
フュリスは、風の魔法で鉄格子を切ろうとしたが、魔法が発動しない。
「ここは⋯魔封じの牢屋?」
「くっ⋯!」
フュリスは、縛られた手足を動かそうとしたが、力が入りにくいように縛ってあった。
「打つ手無し⋯ね⋯」
フュリスは、大きく肩を落とした。
場所は変わり、ここはとある無人島。
少年が海に潜っていた。
岩場の影に魚を見つけ、魚に気づかれないように近づき、硬い骨のナイフでエラを一突きにして捕まえた。
少年は、すぐに方向転換し近くにいる魚を一突きにした。
岩の隙間にタコを見つけ、頭を鷲掴みにし捕まえた。
ここで、浮上し顔を出した。
「とりあえず、このくらいにしとくか」
少年は、泳いで陸地に上陸した。
「今日はこれにするか」
少年は、野草を引きちぎりムシャムシャと頬張りながら歩いていく。
「苦っ! だけど、この草は身体に良いから食えってじっちゃんが言ってたしな」
少年は、やがてとある場所についた。
そこは、黒く焦げた石のかまど、雨水を貯めておく複数の木の桶、ツルで縛ってある枯れ枝の束等があった。
また、草と木とツルで出来た小屋があり中は、動物の毛皮がしいてあった。
干し魚、干し肉、乾燥海藻、石の斧、木の弓、ブーメランなどもある。
彼の生活拠点だ。
そして、野性味溢れる生活拠点とは不釣り合いな、1本の美しい刀が鞘に収めて立てかけてあった。
少年は、2つの石で火を起こし、石のかまどで捕まえた魚とタコを焼いた。
「いい匂いだ⋯!」
少年は、口の中の唾液が湧いてくるのを感じていた。
程よく焼けると一気に食べた。
「不味くねぇけど、ちょっと飽きたなぁ⋯」
少年は、魚の小骨で自分の歯を磨きながら呟いた。
彼の年齢は10代半ばといったところで、身長は同じ歳の男性の平均身長よりも少し低かった。
上半身裸で腰蓑をつけている。
名をケンジロウと言った。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
長い文章に、お付き合いいただき、心より感謝申し上げます。
本文とケンジロウの挿絵の格好が全然違いますが、ご了承下さい。