14話 聖竜の秘密と暗黒武道家の暗躍
読者の皆様、作者の大森林聡史です。
この度は、この小説を気にかけていただきありがとうございます。
よろしければ、内容もお読みいただけると幸いです。
宜しくお願い致します。
【クエスト オブ サンハルト 14話】
「さて⋯ここに来てどうしたら良いのかしら?」
「あれ?」
フュリスは、破邪の腕輪が光っている事に気がついた。
そして、その光はアラモスの石像に向かって放たれた。
すると、石像にヒビが入り次々とヒビ割れが広がって眩い光に包まれていく⋯
光が消えると、フュリスの目の前に白い竜が現れた。
「良くぞ、我が封印を解いてくれた! 礼を言うぞ」
「あなたが聖竜アラモス様⋯」
「いかにも」
「でも、あなたはエビウスに滅ぼされたと聞きましたが⋯」
「私はこの世界の守護神。私が滅べば、この世界に生物は住めなくなる。エビウスはこの世界の支配が目的だ。だから封印したのだろう」
「なるほど。エビウスはどこにいるのですか?」
「ここだ」
アラモスは、地図に印をつけた。
そこは海で常に大渦が発生し、人が近づける場所では無かった。
「え? ここは大渦じゃ⋯」
「エビウスが結界を張り、現世では大渦となっているのだ。だが、私の封印が解けた事で結界が解けたはず」
「分かりました。行ってみます」
「待て。まだ話さねばならぬ事がある。良く聞いて欲しい」
「はい」
「まず、私が何者なのかを話さねばなるまい。私は今でこそ聖竜と呼ばれているが、元々は魔王アラモスと呼ばれていた」
「えっ⋯!?」
フュリスは、驚きを隠せなかった。
「そなた達の伝説に勇者ケンイチと大魔王との戦いがあろう。私は大魔王の第一の配下で魔王の称号を受け、別世界を侵略していたのだ」
「えぇっ⋯!?」
フュリスは、更に驚いた。
「だが、私はケンイチとの戦いの中で改心し、大魔王を倒す事に協力したのだ」
「そうだったのですね⋯」
「だが、改心したとはいえ、私は魔王として犯した罪があり、罰を受けなければならなかった。神は、私にこの世界を守護するように命じられたのだ。それが罪を償う事だと。そして、人間も一部この地に移り住んだのだ。その中にはそなたの先祖のバチョーとフュリアもいた」
「私の祖先が⋯別世界の人⋯」
「私が滅べばこの世界も滅ぶ。だが、エビウスの力は強大で、私にはなすすべが無かった。だが、エビウスもこの世界を滅ぼすつもりは無く、先に申したように目的は支配する事だ。だから封印という形をとったのだろう」
「そうだったのですね⋯」
「ウム。 して、そなたはエビウスを倒すのか?」
「⋯はい。侵略される事を見逃すわけにはいきません」
「ならば、これを授けよう。聖竜の爪と聖竜の聖衣だ」
「ありがとうございます」
「では、さらばだ」
アラモスは、姿を消した。
「さて、長居は無用ね」
フュリスは、ジェネラルドラゴンが開けた壁の穴から飛び降りた。
場所は代わり、ここはエビウス城。
「結界が解かれたようだな」
低く重い声が響く⋯邪竜エビウスの声だ。
「はっ⋯」
答えたのは、マフィだった。
「ジェネラルドラゴンを倒し、アラモスの封印を解いた者がいるというのか⋯何者か心当たりがあるか?」
「はっ。フュリスという女武道家と思われます」
「以前報告にあったサンハルトを救い、そなたと一戦交えた者か。人間、しかも女の身でジェネラルドラゴンを倒すとは只者ではあるまい。素性を調べて参れ」
「既に調べております。以前大魔王を倒した勇者ケンイチの仲間、武道家バチョーと聖女フュリアの末裔と聞いております」
「ほう、勇者の仲間の子孫か。それは侮れぬわけよ。そやつはいずれここに攻めてこよう。マフィよ、そなたにそやつに任せて良いか?」
「はっ! お任せ下さい」
「よし。では期待しているぞ」
マフィは、謁見の間を離れた。
(フフフ⋯フュリスがどれだけ強くともあたしには絶対に勝てないよ⋯)
マフィは、不敵な笑みを浮かべ消えた。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
長い文章に、お付き合いいただき、心より感謝申し上げます。