12話 強敵! 竜の将軍! さらわれた少女
読者の皆様、作者の大森林聡史です。
この度は、この小説を気にかけていただきありがとうございます。
よろしければ、内容もお読みいただけると幸いです。
宜しくお願い致します。
【クエスト オブ サンハルト 12話】
一方、サラはしばらくドラゴンズタワーを見つめていた。
(お姉ちゃん⋯大丈夫かな⋯でも、わたしがいっても足手まといだよね⋯)
サラは、村に向かってワープの魔法を唱えた。
「えっ!? な、なに!?」
しかし、ワープの途中で空間が歪んだ。
「きゃーっ!」
サラは、空間の歪みに吸い込まれて消えた。
一方、その頃フュリスは、ジェネラルドラゴンとの戦いの真っ最中だった。
大爆発が起き、ドラゴンズタワーの壁が吹き飛び、炎が噴き出した。
(な、なんて火炎の威力なの⋯こんなの受けたらひとたまりも無いわ)
ジェネラルドラゴンが炎を吐いたのだった。
(なるほどの⋯こやつ相当早いわ。我が配下ドラゴン共では手に負えぬわけじゃな)
ジェネラルドラゴンは、大きく息を吸い込み、紅蓮の炎を吐き出した。
フュリスは、身を避けた。
だが⋯
「炎が追いかけてくる⋯!?」
ジェネラルドラゴンは、大きく首を振りフュリスを追った。
フュリスは、走りながら魔法を詠唱し⋯
「アイシクルフリーズ!!」
フュリスは、強烈な冷気を放った。
炎と吹雪がぶつかり合い、爆発して相殺され消えた。
「ムゥッ⋯!」
「ふぅっ⋯!」
「ならば⋯!」
ジェネラルドラゴンは、火の玉を吐き出した。
今までの炎よりも弱い火だった。
「なぜ、そんな火の玉を!?」
フュリスは難なく避けると、次の火の玉がフュリス目掛けて飛んできた。
「はっ!」
フュリスは続く火の玉を避けると、更に火の玉が迫る。
「そういう事⋯」
ジェネラルドラゴンは、火の威力を落として連続で吐き続けた。
しかし、フュリスは火の玉を見切って避け続け⋯
「やーっ!!」
渾身の飛び蹴りを放った。
しかし、ジェネラルドラゴンに手のひらで受け止められてしまった。
「そ、そんな⋯」
フュリスは、反動で飛び着地した。
(う、ウソでしょ⋯全力のキックだったのに⋯)
フュリスは、愕然とした。
「フフ⋯」
「何がおかしいの!?」
「そなたの考えを当ててやろうか? 全力の飛び蹴りを放ったが、効いておらぬ事に愕然としておるのだろう?」
フュリスは、ギクッとした。
「とはいえ、ワシの火炎もそなたを捕らえきれん⋯打つ手無しじゃの⋯」
「⋯!!」
フュリスは、ジェネラルドラゴンを睨みつけ唇をかんだ。
「⋯と、言うのは嘘じゃがな!!」
ジェネラルドラゴンは、そう叫ぶや否やフュリスに一直線に向かった。
「ビシュッ!!」
そして、目にも止まらぬ速さで爪を振り下ろし、空気を鋭く切り裂く音が鳴った。
「な、なんと⋯!?」
しかし、今度驚いたのはジェネラルドラゴンの方だった。
目の前からフュリスの姿が消えた。
「ええいっ!!」
「ぐあっ!!」
ジェネラルドラゴンの後頭部に激痛が走った。
フュリスが後頭部をキックしたのだ。
ジェネラルドラゴンは、その巨体がグラッとよろめきうつ伏せに倒れた。
「ヌウゥゥゥ⋯!!」
ジェネラルドラゴンは、すぐさま起き上がり背後のフュリスを睨みつけた。
その目は血走っている。
「後ろがお留守だったわよ」
「おのれ⋯!」
フュリスは得意気に微笑み、対照的にジェネラルドラゴンは忌々しそうに睨みつけた。
(でも⋯あんまり効いてないわね⋯どうしようかしら⋯?)
(ムウゥ⋯捕らえきれん⋯だが⋯!)
「フハハハハハッ!!」
「何がおかしいの!?」
「ワシの攻撃はお主を捕らえきれん。じゃが、お主はワシにダメージを与えられん。違うか?」
「⋯!」
「お主の攻撃は、格闘技と氷と風の魔法じゃろう? じゃが、お主の格闘技と魔力では決定打にならん。違うか?」
「⋯!!」
フュリスは、ギクッとした。
「その顔、図星のようじゃの⋯では戦いを続けようか」
ジェネラルドラゴンは火を吐いた。
フュリスは避けた。
だが、ジェネラルドラゴンは再び火を吐いた。
「いつまで避け続けられるかな!?」
「くっ⋯」
フュリスは火を避けたが、続けざまに火が飛んでくる。
「疲れて動きが鈍ったときがお主の最後よ!」
ジェネラルドラゴンは、火を噴き続けた。
フュリスは、避け続けた。
(くっ⋯! 奴の言う通りね⋯どうすれば⋯!!)
最後まで読んでいただきありがとうございました。
長い文章に、お付き合いいただき、心より感謝申し上げます。