10話 裸の付き合い
読者の皆様、作者の大森林聡史です。
この度は、この小説を気にかけていただきありがとうございます。
よろしければ、内容もお読みいただけると幸いです。
宜しくお願い致します。
【クエスト オブ サンハルト 10話】
チュンチュン…小鳥の囀りが聞こえる。
魔物がはびこる、サンハルトの地だが、それを感じさせない程、穏やかな朝を向かえた。
「ううーん…気持ちいい!!」
「そうね」
2人は、支度を済ませ、西に向かった。
しばらく歩くと、遠くに建物が見えた。
サンハルトの城だ。
歩いていくにつれ、少しずつ大きくなっていく。
サンハルトの城下に着く頃には、夕方になっていた。
「復興が進んでるわね」
フュリスがサンハルトに訪れるのは、約17日振りだったが、1度落城寸前まで追い込まれたとは思えない程、復興が進んでいた。
「今日は、ここで宿に泊まりましょう」
「うん」
フュリスとサラは、宿屋に向かった。
「おや? お客様はもしやフュリス様?」
「はい、そうですが⋯私をご存知なのですか?」
「ご存知も何も、王様を救ってくれた恩人として有名ですよ」
「そんな⋯当然の事をしたまでですわ」
(やっぱり、お姉ちゃんってすごいなぁ⋯)
謙遜して少し照れながら話す、フュリスをサラは見つめていた。
その瞳は、とてもキラキラしていて、憧れ眼差しだった。
「フュリス様からお代を取るわけにはいきません、無料でお泊り下さい」
「そ、そんな、申し訳ないですわ!」
「いえ、エビウスを倒す旅をされていることは聞いております。旅にお金は必要。我が家の投資と思い、無料でお泊り下さい」
「そこまで仰ってくださり、ありがとうございます。お言葉に甘えさせていただきますわ」
フュリスとサラは、宿屋の一室に案内された。
「大浴場が空いておりますので、よろしければどうぞ」
「ありがとう」
フュリスとサラは、早速、風呂に入ることにした。
サラは、フュリスの身体をジッと見た。
(凄くスタイルが良い…)
フュリスは、女性の平均身長よりも背が高く、スタイルの良さが際立っていた。
「サラ? どうしたの?」
「え? お姉ちゃん、凄くスタイルが良いなぁって思って⋯」
「あら、ありがとう」
(出た! 女神のほほ笑み!!)
サラは、うっとりとして続けた。
「わたしは、胸も小さいし⋯」
「あら? そうかしら? 私もサラくらいの歳の頃は、そのくらいだったわよ」
「そうなの!?」
サラは、ビックリした様子で目を真ん丸くした。
「ええ」
(また出た! 女神のほほ笑み!)
サラは、同じ歳の女子の中でも小柄な方で、身体の成長はまだだった。
「わたしも胸おおきくなるかなぁ…?」
「そうねぇ⋯わからないけど⋯大きいと肩こるわよ」
「そうなんだ⋯」
「ええ」
フュリスとサラは、風呂から上がり眠りについた。
翌朝、2人はサンハルトを出発し西に向かった。
やがて、細長い建物が見え、西に向かうにつれて大きくなっていく⋯回廊から竜が彷徨いているのが見えた。
ドラゴンズタワーだ。
「ここね⋯」
「着いたね⋯」
「サラ、道案内はここまでで良いわ。今までありがとう」
「えっ? わたしも行く!」
「ダメよ」
フュリスは、塔を見たまま続けた。
「ここは、危険過ぎるわ。帰りなさい」
「わ、分かった⋯」
(こ、こんな緊張感があるお姉ちゃん初めて見る⋯)
サラは着いていくつもりだったが、気圧され帰ることにした。
フュリスは、サラに別れを告げ中に入った。
サラはしばらくその後ろ姿を見つめていた。
(かみさま⋯どうかお姉ちゃんをお守り下さい⋯)
サラは、両手を合わせて祈った。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
長い文章に、お付き合いいただき、心より感謝申し上げます。