17 夜戦の気配
立ち上がり、後輩の背中側に移動していく。
その最中、なんとも熱い視線が俺の体の一部分に注がれているのを感じていた。
俺が立つと、彼女の視線の位置はちょうどこちらの腰あたりになる。
つまり後輩が熱っぽい眼差しを送っているのは――腰まわりの……ええと、ちょっととんがってるところ、だ。
「せんぱ〜い?」
「な、なんだよ!?」
「そのとんがってるのの先っぽ、ちょっと湿ってないッスか?」
「し、しめ!?」
「あ、隠しちゃダメッスよ?」
「いや隠す!」
「ぶ〜。……でも先輩もそんなになるんスね? ふふふ……」
「そりゃあ、まあ、こんだけやられたら。な?」
後輩はずっと、ふふふ……と小さく笑っている。
これまで一枚一枚脱衣して、じわじわと盛り上がって、この部屋はじわりじわりと桃色に染まってきた。今俺たちがドキドキしているのは、そんな雰囲気のせいもあるのだろう。
そして彼女の背後まで来た。
来てしまった……。
眼下にはちょこんと正座している、ほぼハダカ色の、色めく背中。
(立ちっぱなしもなんだしな、とりあえず座ろう)
蹲踞の姿勢。
座ってみると、彼女の背中から熱っぽさがじんわりと伝わってくる。人肌の気配……。
(う……。こいつ、背中ほっそいなぁ……)
線が細いというのだろうか。すっきりと見通しがよく、そしてなまめかしい気配もたっぷり感じてしまう。
腰のくびれがはっきりと見て取れた。気をつけてないと、知らないうちに手が伸びてしまいそうなほどの魅力にあふれている。
もし手を添えたら、しっとり馴染むんだろうな。……そして触り心地も、すごくイイんだろうな……。さわりたい……。
その腰から、ゆるやかに広がる豊かな柔尻。かかとにちょっと押し上げられて、ふにっと形を変えているのが、ほっぺを膨らませたみたいで、かわい……らしい。ぬぁー、かわいらしいぞぅ!
(いろいろ目に入ってしまう……うぅー)
「はい、じゃあ、どぞ〜ッス」
後輩がくいっと肩甲骨を寄せた。ブラを背中でくっつけているベルトが浮く。ブラ初見の素人目にも、ホックの位置がちゃんとわかる……。わかるぞ……。
「……いいんだな?」
「ふふ〜、勝者の特権をみすみすゴミ箱に捨てるんスか?」
ホックに手をかける。人生初のホック外しの体験をこんな形で経験することになるとは……。
とまどいつつ、カチャカチャやっていると、
(あ、外れた……。案外簡単なのな……。ってあれ? けど外れてない?)
ホックを外したはずなのに、パラリとベルトが落ちない!?
(なんで!?)
想定外の出来事に焦り、大混乱していると、
「ホック、三つありますから、全部外してくださいッス」
「お、おぅ……?」
よく観察してみる。外れてるのは一つだけ。外れてないのがあと二つ。
おぉ、なるほど全部か……。そう言われればそうだ。一つじゃ外れないよな。その通りだ。
「ん〜? 先輩、手つきが完全に童貞ぽいッスよ〜?」
「悪かったな、その通りだ」
第五局あたりだったかな? 一度この話題になったとき、ついはぐらかしてしまったが、もう隠してもしょうがないだろう。
「あ、そうッス……か。それは何より………………ッス」
「何より?」
「あ〜、いやなんでもないッス、ないッスよ。お、外れたッスね。先輩いきなりテクニシャンッスね! さすがッス!」
お世辞ぃ……。
ブラが外れた瞬間、ブルンッ、という手応えがこちらにも伝わってきた。これは……、後輩のおっぱいが真に解放された合図。ついに後輩のおっぱいが、この空間に解き放たれてしまった……。
(見てみたいな……)
ズズズ、という欲望が口の中にたまりだす。
彼女の、はだかの、生おっぱいを見てみたい……。
「ふ〜、ありがとうです〜」
後輩はブラをぶらぶらつまむと、たたんだ衣服の上に置きかけ――
「あ、先輩、このブラ食べてみるッスか?」
「食べないよっ!?」
「あ……、そう……ッスか……」
変な会話の流れにとまどっていると、急に背を倒してきた。
彼女の背中がこちらの前身にピタッとくっついてくる。
(うぉ、ちょっと待て、いきなりくっついてくるとか……)
まず感じたのは、彼女の肌のあたたかさだ。めちゃくちゃ気持ちいい……。そして柔らかい。肩の骨とか背骨とか腰骨とか、いろいろ出っ張ってるところもあるはずなのに……柔らかい。全部が柔らかい。
そしてヤバい。後輩の腰やお尻の上あたりが、俺の大事なところにくっついてくる……。
「ふひ〜、人間椅子ッスね〜」
後輩は、なぜか完全にリラックスモードに入った。
くっつかれて焦る俺の気も知らないで!
「じゃあ、ご褒美その二ッス。手を出してください」
手を……出す? ええと、手を、どこに出す? 肩の外側から出す? 背中に手のひらをくっつける? 腰に手を添えてさわさわする? うん、全部やってみたい。
「んと、わたしの脇の下あたりからッスかね?」
脇の下……、そして腕のつけ根の腋……、フェロモン漂う魅惑の腋……。と思いながら、おそるおそる手を差し入れ、そっと中空に差し出す。
すると、むんずと手首をつかまれて、ぐいっと前に引っ張られた。二人のおなかと背中がくっついたぞ!? さらに密着しちゃったぞ!? さらにグリグリしちゃってるぞ!?
(やばい、パンツがずれる!)
そうなのだ。元気になった某さんが、ずれたゴムから出てきたそうに暴れ始めたのである。
腰を引こうとしたが、後輩がさらに背中を押しつけてくる。俺があんまり引きすぎると、バランスを崩して二人とも倒れそうで危ない。ふんばる。
今こちらにできることは、倒れないように現状を維持することだった。
けれどそうすると、グリグリ攻撃が継続されてしまう。このまま刺激が続くと、さらに膨らんで、さらに硬くなってしまう……。
「うわ〜、やっぱり先輩の手、大きいッスね。長いッスね、骨がゴツゴツしてるッスね」
「いつも見てるだろ?」
俺の手を嬉しそうにさすりながら、しげしげと観察する後輩。そして俺の手のひらの位置は、彼女の胸の、ほんの数センチのところまで接近している。すぐそこにあるものを鷲づかみしようと、手が勝手にワナワナと動こうとしているが――
(いやいや……、自重自重……)
「はい、じゃあご褒美ッスよ〜」
(???)
――ほよん、とした球体の、これまでの人生で経験したことのない、不思議な感触が手のひらにきた。球体の中へとギュッと押し込まれて、手が、その熱く柔らかいモノの内部にあっという間に沈み込む。そして今度は内側から、ぽよんっと弾力がここちよく押し返してきて、沈み込んでいきそうなのに、沈まない。
そう、この熱っぽく、柔らかく、弾力を持ち、揉み心地極上のソレは――
(おっぱい!)
なんと! 今俺は、後輩のおっぱいを、手のひらいっぱいに感じている!
(しかもすげぇ熱い……)
「やは肌のあつき血汐にふれも見で」といったフレーズをどこかで聞いたことがあるような気がして、元ネタはなんだっけ? と思い出そうとしたが、そういう文学的な感慨は一瞬で消し飛んでいった。頭の中がおっぱいで塗りつぶされていく。
これが……、おっぱいのちから……。
「その……どうッスか?」
ちょっと期待をはらんだ声音で、後輩が尋ねてきた。
「うん、でかいな、やわらかいな、おおきいな、さいこうだな」
「ふふふ〜♪」
彼女の笑い声が、なぜか満足げ。
「そういや、この……、サイズってどのくらいなんだ? 何カップとか?」
「ええと、Gッスよ。この前測ったときのサイズが、ろくじゅう……」
「?? バスト60台??」
「アンダーがッスよ? あれ? 男の人ってトップで判断するんですっけ……? じゃあ、89くらいッスね」
「は、はちじゅう、きゅぅ……?」
数字がいろいろ出てきて、トップとかアンダーとか用語もいろいろ出てきて、混乱していると、
「ブラはまずおっぱい下の胴回りを測るんスよ。これがアンダー。ここがちゃんと測れてないとずれたりするッス。ジャンプしたら外れたりするッスからね」
「なるほど……(もみもみ)」
「んで、トップが先輩もよく知ってる、いちばん胸が高くなってるところッス。カップサイズはトップとアンダーの差が何センチあるかで決まるんスよ」
なるほど、知らない世界だ。勉強になる……。もみもみ。
しかしともあれ、これがおっぱい……おっぱい……、と夢中になって揉んでいると、後輩の背中グリグリの動きが変わってきた。小刻みに上下に動いていて、あれ? 俺のパンツがどんどんずり下げられていく……だと?
そしてとうとう顔を出してしまった我が子が、彼女の滑らかしっとり腰肌子ちゃんとダンスを踊り始めた。
「んっ♡ ……でも先輩のって……熱いッスね。鉄の棒みたいで。やけどしそうじゃ……ないッスか……」
「おまえさ……わかってやってるんだよな?」
「う……ん♡? そうッス……よ? そうじゃなきゃ、こんなコト、やらない……んっ♡ ッスよ?」
すでにずっと前から、お互いの準備が整っていた。
お互いの腰が動いていく。円を動くような感じになって、二人の間に心地よい波が生まれつつあった。
「んっ♡ 先輩の……、腰の動きが……エッチッスよう……」
「すまん、おまえがこんなにエロいとは思わなくて……」
前を向いている後輩からは、「ふーん……、ふーんん……♡」と大きな鼻息が聞こえていた。
ときどき、「んんっ……、んっ、ふーっ、ふぅんっ……♡」と鼻声が高く震えるような調子にも変化する。こいつめ、相当興奮してるな……。
彼女のうなじとか後頭部とかから、いい匂いが立ち昇っていた。髪に鼻を近づけ、ふんふんと嗅ぐ。
「なんスか先輩。クンカクンカして。ヘンタイッスか?」
「俺は、今日はもう、ヘンタイでもいいかもしれない……」
「え〜っ? ふふふ……」
笑う彼女の、肩とうなじと首筋と、そのあたりに何度も鼻頭をくっつける。
いろいろくっつけながら、前のもみもみもたっぷり継続していく。
そのうち、手のひらの真ん中あたりの感触に、変化が起こったのがわかった。
はじめは何やらゴムみたいにふにふにしていて、かわいい突起状のモノだった。それが徐々にムクッと膨らみはじめ、コリッとした硬さを得、さらにはニョキッと伸びて、ほとんど棒のような様相を呈していた。
これが……コーフンしたアレ! アレしたアレ! それを感じて、俺もさらにコーフンする。コーフンして、さらにもみもみしていると――
キュッ……と甘い刺激。
(後輩が……俺のムスコさんに……手を伸ばして、指を巻きつけて……、うおおおぉぉっ!)
後ろ手に握って、紅潮した頬で振り返る後輩。
「うわっ、ほんとに堅っ。それにでかっ、なんスかこれ?」
――よし、ついにこのときが来たな。長年夢見てきた、このやりとりをするときが。夜の妄想の中でしかできなかった、してみたかった、この会話を。
つまりこうだ。「え? 先輩、……何ッスかこれ?」「ナニってさ、わかるだろ? おまえの大好きないやらしいモノさ、そのいやらしいお口で直に言ってみな?」「やだぁ、そんなぁ……恥ずかしいっ♡」みたいなシチュエーションになるはずの、定番のやりとりだ。
ぃよしっ、やるぞ! なるべくカッコつけた声音で!
「何ってさ……。ほら、わかるだろ? ……言ってみな?」
「お○んちんッスね!」
即答かよ! ちょっとは恥ずかしがれよ!
「ねえ〜、せんぱ〜い、先輩は今のままでいいんスか〜? このままで満足ッスか〜? 勝負はついたですし、これでお開きにして……ここで止めて、火照る体を持てあましながら、先輩はおうちに帰るッス……か?」
「いや、それは……な? うん……」
コトのペースと某棒の両方を完全に後輩に掌握されている。
〈流れは完全に……後輩〉!
「んっ……♡ でも、やっぱりすごいッスね。先輩のコレって……男の人のって、こんなになるんスね……」
「ちなみに今までに、コレをさわったご経験は?」
「ないッスよ? 初めてッス」
あ、そうですか。後輩の処女が完全に確定した……。
「こんなのぶら下げてて、不便じゃないッスか?」
「うーん? 生まれたときからついてるモノだからなぁ……。よくわからん」
「ふ〜ん、そんなモノっすか……」
そんなモノです……。
しばらくおたがいをふにふにといじり合う。いじり合いながら、俺の欲望がだばだばと溢れ出してきた。我慢できずにぐいぐいと押していく。覆いかぶさりそうになりながら、後輩をもみもみする。
だんだん彼女の体の向きが変わってきた。徐々に斜めになり、横向きになり、俺の膝の上で、体をこっちに預けながら、熱っぽい瞳でこちらを見上げてくる。手はしっかり某をにぎにぎしたままなのがエロい……。
こっちに向いてくれたおかげで、彼女表側を、たっぷりと観察できるようになった。
やはり量感たっぷりのGカップおっぱいに目が行く。
けれど他にも見たいところがたくさんある。
彼女の顔、表情。彼女のカラダ、おっぱい、おなか、腋、脇の下、その下部分――そして今はまだ閉じられている、彼女の秘密の……
「先輩、目があちこち泳いでるッスよ?」
「う……すまん。いろいろ……な」
いろいろ見たいんだよっ。
「なんかかわいいッスね〜……ちゅ♡」
甘い感触が頬にきた……。
見れば、えへへ……といういたずらな表情で後輩が見つめている。あれ? なんだこのかわいい生き物は!?
見つめ合う。
まばたきも忘れて、おたがいを射るような強さで見つめ合う。
それから自然に、二人の顔が近づいていった。
鼻頭がすれ違い、瞼がだんだん重くなり、彼女の熱い吐息がかかってきて、赤くプルプルの彼女の口唇が吸いつくように俺の――
あれ?
俺の唇に当たったのは、縦長のモノ?
目を開けてみると、ほっそりとした彼女の指だった。
ピトッと、人差し指で遮られてた……。
「おいー。ここでお預けとか……」
「えへへ、ドラマとかで、こういうシチュエーションのときある定番のやつッスよ? 一度やってみたかったッス!」
ぐぬぬぬぬ……。定番の先をこされた。けど、たまらない、我慢できない……。キス……、したい……。
「焦らしのテクニックってやつッスかね〜? って! ちょっとなんスか! わたしの指かじらないでくださいよ!」
「がじがじがじ」
「や〜ん♡ 先輩にかじられる〜ッスよう」
という遊びをしばらくやった後、後輩がおねだりしてきた。
「あのね、先輩、ひとつお願いがあるッス」
「なんだ?」
「先輩も負けてください」
「負ける?」
「わたしに負けて、パンツ脱いでください」
いや、俺のパンツはおまえの腰ぐりぐりにずらされて、すでに半脱ぎ状態なんだが!?
「負けるのはいいけど――ええと、おまえの何に負けるんだ?」
「う〜ん、そうッスね……」
そこは考えとこうよ。
「う〜ん……。あ! わたしのカラダの魅力にやられて、溺れて、身も心もメロメロに負けまくるってのはどうッスか?」
「うん、イイネー(棒)」
それで行こう。




