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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

青春365切符

作者: 伊那野氷菓
掲載日:2020/08/11

青春18切符。


一万ちょっと払うだけで、全国の在来線の鈍行列車が五日間乗り放題というお得な切符だ。


俺は夏休みが来る度にそれを買っては、日本各地を巡っていた。


しかし、ここから五日間で回れる場所なんてたかが知れている。


365日間乗り放題の切符があればどんなに素晴らしいことかと、ずっと考えていた。


しかし、同時にそんなものが存在しないことも俺は知っていた。


ただでさえ販売元からすれば儲からない商売だ。五日間でも一万円払われるだけで豪遊されるのはお気に召さないだろうに、年がら年中好き勝手鉄道に乗られるのなんて、尚更だろう。


だけど、そんな夢のような切符が実在したんだな、これが。


しかも、各停や快速に限らず、特急も新幹線も特急券なしで乗り放題。グリーン車も然りだ。


極めつけに、なんとその切符はタダだった。


一年中、タダで全ての列車系統に乗り放題。そんな夢のような切符を手に入れない訳にはいかないだろう。


俺は速攻で窓口に走った。切符は並ばずに手に入れることが出来た。さぁ、楽しい旅の始まりだ。


それなのに、ホームがやけに騒がしい。泣き叫ぶ者もいれば、嗚咽をもらす者もいる。


何なんだよ。折角の旅に水を差すなよ。そう思いながら俺は、乗客の視線の先を見てみた。


紛れもない俺の肉塊が四散していた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 『駅』をテーマにすると、この手のマグロの話が集中して読んでいて辟易したのですが、その点、本作は切り口が鮮やかだったので優れていたと思います。 [一言] さらなる飛躍を期待しております^^
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