001 好感度が見えても嬉しくない ~大好きな義兄に嫌われています~
【あらすじ】
再婚相手の子である義兄に恋心を抱いている高校1年の高坂スミレは、ある日突然、好感度だけが記されたステータス画面が表示されるようになる。大好きな義兄の数値は、最大値の100。しかし、スミレはその値にがっかりしており……。
【ジャンル】
恋愛〔現実世界〕またはローファンタジー〔ファンタジー〕
【キーワード】
好感度 片想い 勘違い 異能 日常
【本文】(第一話冒頭レベル)
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【名前】高坂スミレ
【好感度】
望月雪斗100
望月雪菜57
高坂隆20
高坂さやか17
「…」
わかってるわよ、そんなこと。ぐっすん。
「どうした、スミレ。お粥が冷めるぞ」
「ああ…うん…。あ、お兄ちゃん、梅干しちょうだい」
「塩分摂り過ぎだぞ。二個までにしとけ」
「血圧を気にするような年じゃないわよ」
自宅のダイニングで朝食を食べていたら、ふいに目の前に半透明のスクリーンが表示された。どうやら、つけっぱなしのTVから流れていたCMの『現代人のステータス、オープン炊飯器!』って言葉が頭の中でリフレインしたせいらしい。だって気になるじゃない、ステータスでオープンな炊飯器だよ? 一日の元気の源、朝食のお粥が豪華になるかもしれないじゃない! ステータスはともかく、オープンな炊飯器がなんなのかよくわからないけど。釜の蓋が開けやすいのかな?
「ほら、スミレ、雪斗。そろそろ家を出ないと電車に乗り遅れるわよ」
「だな。早く食べないと」
「お父さんは、今朝は起きてこれないかしらねえ…。夜中まで原稿と格闘していたから」
「人気ラノベ作家も大変ねえ」
「おい、スミレ、本当に急がないと!」
「待って待って」
ぱくぱくぱく、ごっくん
「「行ってきます」」
そうして、私は昨日と同じく、今年入学したばかりの高校に向かう。双子の兄の、高坂雪斗と一緒に。違うのは、こうしてステータス画面が見えるようになったことだけだろうか。なぜか、好感度のパラメータだけが表示されているが。
◇
ガタンゴトン、ガタンゴトン
電車通学はキツい…。ラッシュは避けてるつもりだけど、それでも乗客が多いよ! 私も…私達もその乗客だから文句は言えないけど。
「スミレ、大丈夫か?」
「う、うん…」
混雑している車内で背が高い兄と向かい合って立っていると、どうしても自分自身の顔が胸のあたりに来る。家とかでは普通に距離をとっているわけだから、こうして至近距離で胸に顔をうずめるような体制は、どうにも落ち着かない。有り体に言えば、ドキドキする。