ギルドへ突っ込め
ギルドは当然ありますとも、クエストでバンバン稼いで強くなりなさい。
まぁ、簡単なのから基盤を整えましょう。
案内掲示板を見てわかったことだがここはコンティネント大陸という場所であり、その大陸一番の大都市……その名もメトリスダム城塞王国という場所らしいんです。
以上中継ヌイコがお送りいたしました。
「ふむふむ、なるほどねぇ。」
あのあと嫌でも目に入るほど大きな建物があったからもしかしてと思ったらギルドだったというわけ。
さい先はやはりこう、スムーズじゃなきゃね。
ステータスオープン?
なんだそれ、私知らないよ?
「すみませーん、クエスト受けたいんだけど。」
ええい、どうして陰キャの私が人に話しかけなくてはならないのだ。
丸メガネで地味なテンプレの女の子やぞ……。
「おや? 初めての方ですか? ならまずはご登録をお願いします。」
「あ、あぁ……はい。 お願いします。 私初めてなもので。」
「すぐ終わりますよ、一時間少々お時間いただきますよ。」
「全然すぐじゃないじゃない。」
やめてくれ、私は長話が一番大嫌いなんですよ。
校長やら近所のオバさんだの、私の時間を縛ってなにがしたいんだ?
しかし、逆に考えるならば待つことも試練だよね。
だったら耐えながら登録しなきゃ。
「名前の記入欄ねぇ。 私は【はりやま ぬいこ】だから。」
「なかなか決まらない場合ですと、オススメしていただければ偽名でも構いません。」
「名前考えるのってなかなか楽しいけど決まらないよね、わかるわかる。」
「【はりやま ぬいこ】でしたらやはりオススメは【さっちゃん】でしょうか。」
「一文字もかすってない!! じゃあ【ヌイ】でいいよ。」
あれ、私こんなにも人と話すのって笑顔でできたっけ?
やめろ、私は陰なるキャラクター……略して陰キャなんだよ。
「ではプレイヤー【ヌイ】様のカードが発行されましたのでどうぞお使いください。」
「今使います!! これがあればクエスト受注して行けるんだよね?」
「行けますとも、なんなりどこぞなり行ってこいください!! あ、今のは誤字ではありませんので。」
それじゃまず私は初心者の項目からなるべくモンスターの討伐系統じゃない物を選びますかね?
死ぬのは勘弁、すなわち痛いのはなるべく回避したいところで……えぇ、キャラ見映えする制服できたけれど、こんな布切れ一枚の防御力なんてたかが知れてるでしょ?
「じゃあこのはっぱ草の採取で。」
「わかりました、では一キログラムほどの採取を……この袋にですね。」
ここまで安請け合いしたのはいいんだけど、あとで気がついた重大なことは【はっぱ草】って何? ってことぐらいかな。
見たことも聞いたことも無いからどんな植物を採取してくれば良いのかわからないままクエストに放り投げられることになるとは、まだまだ私も詰めが甘いってところだよね。
ヌイのお手並み拝見