扉はここだぁ
こんな食料かかえて、永住するつもりですか?
それもまた一驚ですけどね。
さてやって来ました放課後の部活のお時間です!!
朝一番に旧校舎に忍び込んでは部室の目の前にオヤツだのジュースだのしまいにはカップ麺から冷凍ご飯にレトルト食品……総計数千円ぶんの備蓄をリュックに詰めまくって人目つかない時間にここに待機させてたんですよ。
内心こんな場所誰も来ないと知っていても私以外にこの存在を知られたらと思うとたまらないけど、一応隠しておいたリュックを担ぎ上げるといざ異世界へ!!
ってあれ?
普通の部室だって!?
「あ、あれ!? 昨日までの異世界は!?」
扉を開けたら路地裏じゃなく単なる倉庫にすらならない小部屋とはいったいどういう了見してるんだぁ!?
いや、もとから小部屋なのが正しいんだけど……あれは一日限りの夢だったのかなって思うと悔しさが込み上げちゃうんだもの。
机になけなしのお金で買い込んだ食糧入りのリュックを置いて椅子に腰掛けて伏せたとき、ふっとロッカーに目がいっちゃったんだな……。
どこにでもあるロッカーだっていうのに、期待したかった……この先に異世界の扉があるんだと。
「開けゴマ、略してゴマ。」
少し力を入れて開いた扉、ニィって頬笑む私の表情。
まさしくビンゴ。
「確かに部室の扉そのものが異世界に繋がってるのは不便だしなぁ。 でも誰が? まぁいいや。」
部室そのものが拠点として使えなきゃ確かに物を管理するときに少し中継としては不便なんだ。
どうしてこんな仕様になったのか考えるのは二の次三の次、リュックを無理矢理押し込んではさぁ始まり。
もとの世界の時間が経過しないなら好きなだけ居放題ってのもなかなかの好条件。
私も皆を見習って武器を持ってきました、じゃーんっ!!
「腰に添えるは十徳ナイフ!! ふふっ、私もついに異世界デビューな訳だけど十徳ナイフ使いってのはさすがに私だけだろう。」
素早く動けて機動性重視、我のように舞い蚊のように刺す!!
このコンボは完璧じゃないの。
「さて、徹夜して考えてきたわけだけどもまずはこのノートにやるべき事を書いておきましたので、読んでみましょうね。」
私だって無計画に昨日はあのあと過ごしてた訳じゃないのさ。
考えなしでまたここに来てもやるべき事の順序や筋道がないといつまでたっても浮浪者の女子高生なのだよ。
「まずは恒例、ステータスオープンっ!!」
……。
「出ないね、はい。 ステータスオープンって叫んだから実績ひとつ終わり。 丸つけて次。 ギルド見つけてクエスト行く……。」
最初からやりたいことがうまく行かないとは。
うんうん、それもまた人生だよね。
ステータスオープン?
そんなのは、ないっ!!