その異世界に足跡を
まずは様子を見てみろ、これは大切ですね。
何があるのかしっかり自分の目で見てこの世界を知る、適応するのがベストです。
ついに私は路地裏に出てみた訳なんだけど特にどうってこと無かったんだよね、これが。
空気も美味しいし、よしっ……そうしよう。
方向感覚は音痴でもないから500メートル圏内なら散策しても構わないよね。
「この路地裏のこの辺の扉が部室に繋がる場所。 カメラで記録しておけばなんとかなるよね。」
こちら側の扉も何度も開閉を繰り返してはや10回、どちらの世界とも干渉して繋がっているのを確認すると私はついにその大通りへと足を伸ばす。
大通には人がいっぱいてそりゃもうどこぞ都会ですかーって心が叫びそうになっちゃって困りモノ。
いや、私だって修学旅行で大都会には行ったこと1度はありますけどね?
あれは旅行だからであってこれからいつでも好きなときにここに来れるとなると人混みの雰囲気に圧倒されちゃいけないって自然にわかるものなんだよ。
「それにしてもこれってまさかだよね?」
道行く人達は腰に剣だの背中に弓矢だのって物騒なもの背負ってるわけだから丸腰の私にはたまったものじゃない!!
もし語源が違って食い違いから斬り捨て御免で死ぬのはあんまりすぎるからちょっとどうしようか迷う。
こういうピンチだからこそ落ち着け、ミリオタの兄貴いわく人海戦術で乗り越えろ……だったかな?
意味合いは違うがまずはクリアリングというものをしっかり行い敵がいないか観察することが大切、そう……生き残るためには人間観察をしなきゃいけないのよ。
「なるほどねぇ。」
ほどよく散策してればわかってくるけどここの語源は私たちと同じものを使っている。
それならほとんど気を使わなくたって良い、楽に行こうね。
「武器屋とか本当にあるんだ。 オモチャって訳じゃなさそうだよね……白銀に光る刀身は模造刀とかじゃないよ、あれは絶対。」
部室からけっこう歩いて周囲には何があるかいろいろ確認できたから今日は帰ってノートにいろいろまとめちゃったり、オリジナルの地図とか作っちゃったり……何て思うと明日からの学園もとい部活が楽しみで仕方ない。
こんな素敵な部活をやってるのは世界で私だけだと考えると胸がドキドキしてきちゃう。
「明日は散策範囲を広げるべく食糧もキメこんで備えなくちゃいけないかもね、これは。」
狭い路地裏から見えるわずかな青空を見上げて、明日もここに来ようと誓った。
部室に戻ってみると何やら違和感というものに衝動が刈られるのは気のせいじゃないのかも。
ポケットから端末を取り出して時間を確認してみると?
「ははーん、あっちの世界にいる間はこちらの世界の時間は進まない……つまりっ!?」
時間が進まないなら好都合、好きなだけ居たって構わないなら……。
おっと良からぬ妄想をしてしまったが今日は早めに帰って明日の準備でもしますかねぇ、主に授業関連じゃなくもちろん異世界定住ライフの準備だよ。
何時間この世界にいても誰も怒りませんよ?
好きなだけいましょう