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【20191122】

【読者の反応】

『早く耳を塞ぐんだ!』 33%

『早くクッションに隠れるんだ!』 0%

『とにかく壁まで跳ぶんだ!』 33%

『ここで猫の鳴き真似だ!』 33%


#ツイッタゲーム

『ここで猫の鳴き真似だ!』と閃いたのと同時に、カンちゃんの心の声が聞こえた。

『耳を塞いで、壁まで跳ぶ!』

え? どういうこと?

『こういうこと!』

カンちゃんが久々にあの甲羅を出し、手足を縮こまらせる。もちろん両手は両耳を塞いでいる。

直後、物凄い衝撃を感じた。

今まで感じた空気の振動とは違うタイプの……空気が痺れるとでも言うべきか。しかも衝撃と共に爆音と光とがカンちゃんをというか甲羅を、凄まじい勢いで圧した。

『……爆発?』

『そう。クリオネ姉さんからもらった本物の笛は甲羅の中。あれは、先代乙姫様からいただいた笛型爆弾』

『爆弾!』

『でも、あんなモノじゃきっと、ヒレナガチョウチンアンコウ姉さんのぶ厚い面の皮に阻まれると思う』

どんだけだよ。

『あなたは早く、ウラシマの起動を!』

『そうだった』

とは言ってもどうやったら……また震えてみたら良いのかな……。

「おのれぇぇぇええええっ! おのれおのれおのれぇ!」

うわ、なんか雄叫びが轟いている……いやいや集中だ……集中……。

「ああっ! 妾の可愛い夫達がっ!」

『何が夫よ……脳も内臓も溶かされて、陰嚢だけが肥大化させられて、姉さんに精液を送るだけの道具になり果てた犠牲以外の何者でもないのに』

カンちゃん……いまさらりととんでもない事言った?

しかも、なぜかやけに耳に残る。

……耳に?

何だ……この懐かしい感覚……そうだ……五感だ。

ただし現在ではなく過去……記憶の中の五感。

泣いているカンちゃんの頭を、俺は撫でている。手のひらにさらさらとした髪の毛の触感。

「どうしてあなたじゃないといけないの? 二人で逃げちゃおうよ!」

「多分、君に出逢う前の俺だったら、そうしてる」

「じゃあ……」

「でも君に……カンちゃんに出逢った。アイツをこのまま放置したら、君らや君の妹達、それから俺ら人間にも、これからもっともっと、悲しい運命が襲いかかる」

「でも……その方法だと……あなたは……あなたの体は永遠に……」

「それは……いいんだ。俺さ……小さい頃から憧れていたからさ。悪の組織に改造された、正義のヒーローってやつに。それに俺が生身の人間のままだったらさ、歴史の中の浦島太郎みたいに俺一人だけ爺になって、カンちゃんをまた独りぼっちにさせちゃうじゃないか」

カンちゃんは無言で頬を染める。

俺の顔とカンちゃんの顔が次第に近づいて……鼻の頭と頭が近い近い近い遠い……あれ?

ぐんぐん遠くなる……記憶が……フェードアウトして、また別の記憶が蘇る。今度はカンちゃんと初めて遭った時の記憶だ。あの宮殿で出された料理。妙に生臭いスープを飲み込みたくなくて、トイレを探しに行って。

そこで……うわ、また良いところでシーンが変わる。

何かに遅刻しているのに飛び乗った電車は本来のスピード以上出さなくて、当然なのにそれにイライラしていた時の胸の鼓動音。

頼まれ事を片付け完了直前にミスした事に気付いて出た冷や汗のあの冷たさ。学校生活で一番恥ずかしかったあの事件……は。

五感がない記憶もあるな……というかこれ、もしかして走馬灯?

記憶の再生時間も徐々に短くなってゆく。幼くなるに連れ、ムービーからスライドショーのように……これ、記憶がゼロまで戻ったら消えちゃうパターン?!

『起動条件を満たしました。ウラシマ、初期化再起動します』

え、だ、誰の声?

唐突に頭に響いた声。

カンちゃん今のなに?

あれ? ねぇ、カンちゃん……もしかして、『会話』が出来なくなってる? しかも気付けば真っ暗だし。

『初期擬態を開始します。対象組織に触れてください』

触れる? え、どうしたらいいの? うわ、視界が急に……ああ、こけしのあの見下ろし視点だ。

『擬態可能組織選出』

視界の中に二重丸のカーソル状の光が4つ現れた。どれかを選べばいいのか?

でもこれ……本当にこの4つから選ぶのか?


【選択肢】

・カンちゃん

・現乙姫

・巨大クッション

・床のシミ


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