【20190927(20190929)】
【読者の反応】
天守閣 0%
お堀 0%
鉄砲狭間 33%
鯱 67%
#ツイッタゲーム
「しゃちほこ……かな」
一瞬、頭に浮かんだジョークを、カンちゃんはそのまま答えてしまう。
「しゃちほこ! それ思いつかなかった。アンタ頭イーね!」
予想外に、女子はその答えが気に入ったようで、白い紙に何やらいろいろ描き始める……どうやら設計図のようだが。
「これで作ってもらお」
彼女がそれを写メると、木目調のプリンタから大量のコピーが出力される。ここだけハイテクなのか!
彼女はその束をつかむと、脇に据え付けられている木製のハンドルをぐるぐると回し始める。船を操縦するやつに似ている。やがて外につながるあの窓のようなものが開いた。
「お願いね!」
彼女がそれをバラまくと、設計図ははらはらと舞い散らばりながら落下して行く……そうだ。大樹くんも落ちたんだっけ……胸の奥がぎゅっと締め付けられる……気分だけ。
でもカンちゃんは実際に、こけしが入った袋をぎゅっと抱きしめていた。
「あなた、もしかして気付いてる?」
カンちゃんが女子に向かって語りかけた言葉は、地響きのような絶叫の数々に塗りつぶされて消える。
まだ閉じられていない開口部から地上付近を眺めてみると、あの大工達が、カンちゃんの「お姉さん」達を、塔へ磔にしようとしている。大工の数もお姉さん達の数もさっきより増えている。
「ちょっと見せて」
カンちゃんが設計図の原本を広げてみると、塔のようなモノの側面に雑な魚のようなナニカが大量にくっつけられている絵……魚……お姉さん達……磔……そういうこと?
塔に磔にされているお姉さん達は、物凄い暴れ方をしている。「親衛隊の数が足りなくて姉さん達を派遣したのね」
「伝わんないなー」
女子も一緒に覗き込んでため息をつく。
「やっぱ、勉強大事だなー。あーし、次に生まれ変わったら、取り戻しがつくうちに勉強しよ」
「やっぱり気付いてたのね」
女子が無言で苦笑いを返すタイミングで、塔が根本の辺りから裂け始めた。
浮遊感。
思わず震え始めるこけし。
浮き始めたこけしにつかまるカンちゃんが女子と視線を交わす。
「船長……ってわけじゃないけどさ、あーしはここに最後まで残る」
そう言って女子はハンドルを握る。城なのか塔なのか船なのかいったいなんなん……ツッコミ終わる前に、塔は派手に地上へと倒れて行った。
「あの研究所覚えてる?」
カンちゃん、切り替え早っ! ……じゃなくて。今、こけしへダイレクトに話しかけてきたの……初めてじゃない?
「今まで、ごめんね。でも誰かに悟られるわけにはいかなかったの」
じゃあ意思疎通を確認したところで、大樹くんを探して早く脱出しようか。
しかし、カンちゃんは頭を左右に振った。
「本当に覚えていないんだね……でもその方がいいのかも」
何がいいんだよ。
「でね、乙姫様に恭順を意を示した姉さん達の中には、後で寝首をかこうってひとたちも少なからず居たわ。乙姫様はそれを見抜いていてね、姉さん達へある注射を打ったの。定期的に」
重要情報だけど、話そらされている感が。
でもまあ、その注射とやらのナニカが研究所にあるってことなんだろうな。
「ごめんね。もう少しだけ……お願い」
大樹くんは本当に置いて行くのかな。こけしもそうやっていつかポイって捨てられるのかな。カンちゃんへの不信感もじわりと湧いてくる。
「……絶対に……今度はあなたを見捨てないから」
今度は?
やけにひっかかる……だが何も思い出せない。最初の悪夢より前の記憶は、靄の中に手を伸ばしている感じで何もつかめない。
「魂の器はあくまでもかりそめのもの。記憶のほとんどは体に残っているから」
じゃあ、その体を先に取り戻せば……。
「今のあたしたちには無理なの」
無理なの、という表現以上のことは教えてくれない。問いただしたら時間がないからとかごまかされるのだろうか。
「研究所へ急いでもらえる?」
さっきまでは世界を四つとも解放しないとと言っていたのに今度は研究所。カンちゃんの優先順位がいまいちしっくりと来ない。
【選択肢】
・でもまあとりあえず研究所へ急ぐ
・当初の目的地である四つ目の世界へと飛ぶ
・いや、大樹くんを見捨てられないよ
・自分の体をまず最初に取り戻したい




