青龍覚醒(2)
闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。
これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋と仲間達の転機の物語。
その中でも特に怒り心頭だったのは、やはり、
「犬飼源士郎っ! あなただけは、許さないっ!」
スレイブフェアリーの装着を終え、デビルアイを全開にして、殺気と怒気を放つ黒猫だった。
その怒りっぷりは凄まじく、同じように怒っていたはずのAIらがビビって口出しできなくなるほどである。
それだけに源士郎も一瞬怯んだが、扱い慣れていないであろう武器とスナイパーライフルを装備しているのを見て、自分やスナイパーに命中にさせることはできないだろうと、高を括った。
「ほざくか小娘。怒鳴ったところで何もできんくせに」
「それはどうでしょうか?」
「ん?」
「猫を甘く見てると、痛い目に遭いますよ」
玄武がそう言って間もなく、黒猫はスレイブフェアリーの子機である自律兵器を射出してスナイパーの元へと移動させると、撃鉄を引き、天高く跳躍した。
「鉛玉の嵐でもくらって! 犬飼のイヌッ! オールデリートォッ!」
そう言うと同時に、黒猫はスナイパーライフルとスレイブフェアリーを連射してスナイパー全員を蜂の巣にすると、仕上げと言わんばかりに、源士郎の真正面へとスレイブフェアリーの子機を移動させ、
「あとはあなただけよ。死んで! 犬飼源士郎っ!」
と、言って、弾切れになるまで斉射した。
普通なら死んでいてもおかしくないほどの数の弾丸をくらった源士郎だったが、防弾チョッキ等といった防具を装備していたおかげで、奇跡的に生きていた。
そのしぶとさに黒猫は苛立ちを覚えたが、重傷を負った彼に逃れる術は無いとわかると、持参していた菊一文字零式・真打を鞘から抜いて、
「ずいぶんとしぶといようだけど、その悪運もここまでね。じゃあね。パパとママとみんなの仇」
と、言って、源士郎の首をはねようと切っ先を突きつけた。
犯罪者に殺されるという不名誉な死。それを甘んじて受けなければならないのかと、源士郎は下唇を噛み締めるほど無念に思った。
わかりづらかったかもしれないので説明しますと、黒猫の大技・オールデリートは、演算能力で対象との距離などを計算してからスレイブフェアリーとスナイパーライフルで範囲内のターゲットに鉛玉の嵐をくらわせ、仕上げに前方の対象1人に弾切れになるまでその2つの一斉射撃をする技。
それを容赦なくやるあたり、特捜5課への怒りは凄まじかったということです。
まぁ、完全に源士郎の自業自得ですが。




