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リセット(2)

 闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。

 これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋と仲間達の転機の物語。

 それから約1時間半後。終業式に出席するため、生徒達が続々と冬休み前最後の学校に登校した。


「よっ! 武文達おっはよー」


「あ、黒田君達おはよう」

 教室に入ってきて武文らに挨拶した宙達だったが、そこである違和感に気付いた。龍がいないのである。


「あれ? ねぇ、澪。龍は?」

 そう聞かれた澪は20分ほど前に用務員の柴田平次(しばたへいじ)に頼まれて手伝っていたのだが、その最中に渡り廊下で足を滑らせ、後頭部を打ってしまい、保健室で休んでると答えた。


「そっかぁ。まるで私みたいだねぇ」


「あんたに言われたら龍も終わりやって」

 雲雀の言葉に武文や正人らも同感だと頷いた。


「けど、残念だなぁ。龍がいないんじゃ、直接自慢できねぇじゃねぇか」

 そう言って残念そうにする宙に、雲雀が訳を聞くと、宙は先日、自宅で柚と一夜を共にしたらしく、恋のライバルである龍に報告して、悔しがらせてやろうと思っていたとそうだ。


 それを聞いた正人や武文らはリアクションに困り、柚は公開報告に恥ずかしそうに赤面した。

 その一方で援交常習者の美夜は彼らのリアクションにため息をつき、


「どいつもこいつもガキばっか。一回寝たぐらいでなんだってのよ」

 と、呆れながら言った。

 その後も宙の下ネタトークは続き、チャイムが鳴るまで続くのかと、正人らもげんなりしている。


 と、そこへ、翔馬のクラスの生徒で正人の幼なじみが突然、血相を変えて入ってきた。


「ま、正人ー! た、大変だーっ!」


「どうしたんだよ。そんなに慌てて。もうすぐチャイム鳴んぞ」

 正人は冷静にそう言ったが、呼吸を整えた彼の口から語られたのは、常識では考えられない話だった。


「はぁ、はぁ、はぁ……今、うちのクラスに、転校生が来たんだけど……」


「はぁ? この時期に? 変わってんな。で、そいつがどうかしたのか? ひょっとして、すっげー美人とか?」


「いや、美人は美人なんだけど……そいつ…………なんだよ」


「あ? なんて?」

 正人が聞き返すと、生徒は意を決したように、


「だから、未来なんだよ! 未来が帰ってきたんだっ!」

 と、大声で答えた。


 6年前の惨劇で死んだはずの未来の転入。ありえない話に中四条小学校卒業生と雲雀達は驚愕した。


「お前……何、バカなこと言ってんだ! 未来は死んだんだぞ!? なのに、生きてるわけ……」

 幼なじみを揺さぶりながら正人はそう言ったが、


「本当だよ」

 不意に聞こえてきた女の声に、口がピタッと止まった。


 まさかと思い、全員が声がした方を向くと、1人の女子がそこにいた。

 見た目こそ美しく清楚に成長して少し変わっていたが、彼女を知る者達には誰かすぐにわかった。


「み、未来……なのか?」


「うん。ただいま、栗原君。ただいま、みんな」

 紛れもない本物の未来との再会に、正人ら中四条小学校卒業生達は歓喜し、中には涙を流す者もいた。


 その一方で武文と雲雀と澪は、彼女の復活は何か裏があると容易に想像できた。

 今回のタイトル『リセット』とは、すなわち未来の命と人生であり、龍と彼女の関係を意味しています。(2人の関係に関しては、コンティニューと言った方が正しいのかもしれません)

 ただ、龍のあれがある以上、すんなりとはいかないでしょう

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