成すべきことのために(7)
闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。
これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋と仲間達の転機の物語。
どうにか一悶着が終わったことに安堵した未来や武文らは、彼女がまた復讐に走らない内に早いところ京士郎を見つけなければならないと気を引き締めた。
それを肌に感じた翔馬は、何か力になれないかと思ったことで、あることを思い出し、用があると言って雲雀を病室の外に連れ出した。
翔馬が思い出したあること。それは、雲雀用の新しい武器を作っていたことだ。
その武器の名は朱雀の尾翼。一見消しゴムサイズの小さな鉄の塊にしか見えないが、使用者の考えを電気信号で受信し、内蔵されている武器を出すという今回の作戦・プランAのために開発された武器である。
仕込み武器も得意な自分のために開発されたそれの使い道と武器の正体に感づいた雲雀は、翔馬に感謝すると、強い決意と覚悟をその目に宿しながら、普段から使っている髪留めの裏に装着した。
その直後、病室のドアが突然開き、未来が慌てた様子で出てきた。
「あ、雲雀さん達! すぐ支度をして! 京士郎さんが見つかったって!」
「ほんまか!? 場所は!?」
「警視庁の屋上だって」
「まさに灯台下暗しって奴だな。よし。んじゃ、行くか」
翔馬の言葉に雲雀が力強く頷くと、忍の治療で疲れ果ててしまった澪以外の死獣神メンバーと未来と蒼子と犬飼親子は、京士郎がいるとされる警視庁へ急行した。
その途中、玄武らは京士郎が何故警視庁にいるのか理解できずにいた。
彼の精神が完全に壊れているのなら、特に理由も無く偶然立ち寄ったのだろうと説明がつく。
しかし、例の廃倉庫での戦いで蒼子を目にし、京士郎は多少なりとも自我を取り戻した。
なのに、わざわざ危険を冒してまで警察に行く。その意味がどうにも解せなかったのである。
雲雀のプランAに対する決意と急転した事態で終わった今回。
京士郎が危険を冒して警視庁の屋上に向かった理由は次回明らかとなります。




