リセット(1)
闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。
これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋と仲間達の転機の物語。
平成17年12月22日午前7時。この日、死獣神メンバーは朝早くに学校に来るよう連絡を受け、龍のクラスの教室に集まっていた。
部活の朝練に来る生徒か教師しかいない学校で、寝ぼけ眼をこすり欠伸をしながら待っていると、呼び出した張本人である武文が入ってきた。
「おはよう。みんな集まってるね?」
「こら、武文! 朝っぱらから呼び出すなんて何様のつもりやねん!」
「それについては申し訳ない。けど、一刻も早くこのことを伝えるには、この時間に集まってもらうしかなかったんだ」
ただならない雰囲気でそう言う彼の様子を見て、龍達はトラブルが起こったと直感する。
「もしかして、緊急事態ですか?」
「まぁね。取り越し苦労であってほしいけど」
そう言うと武文は教卓の方に移動し、召集した理由を語った。
今朝6時頃。死獣神サイトに依頼メールが届いた。ここまではいつも通りなのだが、問題なのはその内容と依頼人である。
依頼人の名は闇。彼は自分が以前食人族の依頼を出したことを明かし、3000万で自身の仇敵・青龍を殺すよう依頼を出してきた。
あの一件で食人族を惨殺し、龍にも襲いかかった謎の存在・闇からの依頼に、武文以外の死獣神メンバーは驚きを隠せなかった。
「青山君を殺せって?」
「はい」
「あんた、まさかそれ、受けてへんやろうな?」
雲雀が眉間にシワを寄せてそう聞くと、武文は馬鹿馬鹿しいといった感じで微笑み、
「もちろん。たった3000万ぽっちでエースを死なせるほど、僕はバカじゃないよ。だから、謹んでお断りしたよ」
と、答えた。彼の言葉を聞いた紫乃や大牙は、ほっと胸をなで下ろす。
しかし、気は抜いてはいられない。闇が目の敵にしている以上、別の殺し屋が殺しにくるかもしれないし、最悪の場合、闇本人が直接来ることもあり得る。
「そういう訳だから、龍君は闇の正体がわかるまで気を抜かないように。他のみんなは闇の正体を調べること。いいね?」
武文の指示が飛び、頷いた雲雀達は気を引き締めた。
特に龍は、狙われてることもあって、誰よりも危機感を強めたていたが、その一方で翔馬は別のことを危惧していた。
今回の一件はかなりの長編です。ご了承下さい。




