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成すべきことのために(2)

 闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。

 これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋と仲間達の転機の物語。

 約1時間後。2人は京士郎との戦いの舞台となった廃倉庫に到着した。

 警察の現場検証や掃除が終わったせいか、そこに死体も血の海もなく、綺麗さっぱり片付いていた。


 そんな場所に柚が今になって連れてきた理由。それは、龍に特訓を課すためである。


 昨夜のことでもわかる通り、彼の雷神閃の速度は異常で、対策を講じていた龍でさえかわしきれないほどだった。

 このまま何もせずに再び対峙すれば、昨夜の二の舞。最悪の場合、命を落しかねない。

 それ故、彼を倒す可能性が1番ある青龍には、どうしても身に付けなければならない技術がある。


 それは、雷神閃を見切れるだけの技量。そのために柚は彼を鍛えるべく、抜刀し、雷神閃の構えをした。

 ご存知の通り、柚はコピー能力のデミ・ミュータント。その特性上、雷神閃も改良した状態で繰り出される。つまり、それさえ見切れれば、京士郎の雷神閃を見切ることなど造作もなくなる。

 しかし、一歩間違えれば、特訓相手である彼女の手にかかって即死亡ということにも繋がる。


 危険な賭けではあるが、これしか方法が無いと思った龍は、付き合ってくれてる彼女のためにも全力でいこうと青龍になり、ドラコスラッシャーを構えた。


「準備はいいみたいね。じゃ、始めるよ。言っておくけど、殺す気でいかないと泣きを見ることになるから」


「わかってる。その、ありがとう。黒猫」

 特訓前の忠告にそう答えた青龍は、これが最期かもしれないと思い、柚に感謝を述べた。


「勘違いしないで。私以外の誰かに青龍を殺されるのが癪なだけよ。だから青龍。こんなところで死んだら、地獄に行っても恨み続けるよ」

 柚が冷たくそう言ってから数秒後、斬撃音と龍の叫びと共に彼の見切り特訓が始まった。


 その特訓は徹夜で何度も行われ、納得がいく形になった2日後の早朝には、青龍はボロ雑巾のようにボロボロになっていた。

 前話で仰々しく言ってすみません。

 青龍の特訓はこれにて終了です。

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