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青龍vs妖剣士(2)

 闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。

 これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋と仲間達の転機の物語。

 邪魔者はいなくなった。これで心置きなく戦えると思った青龍は、2人にサポートに撤してくれるよう再度頼み、蒼子が見守る中、京士郎との斬り合いを始めた。


 得物の長さで勝る青龍は、彼の届かない距離から攻めようと間合いをとりながら戦ったが、デミ・ミュータントとなったことで脅威の反射神経と瞬発力を得た京士郎が相手ではそれは難しく、終始京士郎のペースに呑まれて、防戦一方となってしまっていた。


 この場合、本来なら人志の時と同じように、サポート役が戦っている本人の意思を無視してでも救援に行くのが、プロの殺し屋なのだが、何故か朱雀も黒猫も今いる場所から微動だにしなかった。

 この異変には、一般人である蒼子も違和感を感じた。


「お2人共。どうして助けに行かないんですか?」


「……助けないんじゃなくて、助けられないんです」


「あの鬼、こっちが援護するスキすら見せへんねん」

 確かに2人の言うとおり、彼は狂ってはいるもののその動きに一片のスキもなく、迂闊な行動をとれば、即座に首を落とすかもしれないほどだった。


 だが、理由は他にもあった。


(それに何や? それだけやないな。今、手ぇ出したら、青龍に怒られるからや)


(どうしてこんなこと考えてしまうの? 青龍も特捜5課と同じ。殺さなきゃいけない敵のはずなのに……私、青龍の心配をしてしまってる?)


(こんなんやったら、うち、殺し屋やのうて……)

 誰よりも自分の感情に戸惑いを隠せない2人の少女は、そう考えている内に、自然と祈るように手を胸の前で握り締め、


(愛する男を見守るか弱い乙女みたいじゃない……)

 と、思いながら青龍の身を案じた。

 朱雀と黒猫がとった無意識な行動。その源はどちらも同じ。青龍への想いであった。

 強敵相手に命懸けで戦う青龍を見守る2人の少女。

 手出しすらできない窮地に大切な人が陥っていれば、おそらく誰もが無事を祈り願うものでしょう。

 少なくともその感情は、朱雀も同じです。

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