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chat noir (4)

 闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。

 これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋と仲間達の転機の物語。

 ブラック・ナイト司令を解かれ、友人らに囲まれるように残った黒猫は、黒蛇を見送ったあとも言葉1つ発さず、彼が去っていったところを見つめた。

 その様子から美夜らは、まだブラック・ナイトに未練があり捨てられたと思い、途方に暮れているのではと彼女の心を案じたが、黒猫はプロの殺人者。自分の気持ちの整理をとっくにつけていた


「心配しないで。黒蛇さんを裏切る気は無いから」


「てことは……」


「うん。でも、勘違いしないでね。黒蛇さんの厚意を踏みにじりたくないから入るだけよ。それに、私は今でもブラック・ナイトの一員のつもりだから、そこのところよろしく」

 黒蛇の願いを受けた彼女が導き出した答え。それは、ブラック・ナイトから出向という形で、死獣神に加入することだった。

 強情な彼女からのグレー極まりない要求に、雲雀は文句を言ったが、彼女の我が儘っぷりはこれだけに留まらなかった。


 その我が儘とは、加入する上で守ってほしい2つの雇用条件である。

 1つは技を観察しコピー能力に活かすため、なるべく全ての依頼に関わらせること。

 もう1つは龍以外による復讐の妨害をしないことである。


 前者はともかく、後者の条件を雲雀らは受け入れれるはずがなかったが、当の龍は軽い返事で承認した。


「いいの!? 龍君!」


「うん。猫宮さんの大切なものを奪った僕は、その罪を一生背負って生きていかなきゃいけない。だから、猫宮さん。いつでも殺しに来ていいよ。僕、猫宮さんになら殺されてもいいから」

 復讐ウェルカムといった感じで龍にそう言われ、黒猫はクスリと笑った。


「散々『自分を大切にしろ』って説教しといて、よく言うね」


「うっ……」


「わかった。じゃあ、これからは仲間としてよろしく。言っておくけど、色んな手を使って殺しに来るから、覚悟しといてね」

 殺意のこもった怖い笑顔で握手を求めながらそう言う黒猫に、龍は頷き、純粋な笑顔で握手に応じた。



 その後、ペガサスが野次馬の記憶を消していた事もあり、龍達は何事も無かったかのように、学校生活に戻った。

 黒猫こと猫宮柚の加入は、武文の予想通り大幅な戦力アップとなったが、雲雀や澪、大牙らはやはり、2つ目の雇用条件のこともあり、前途多難感が否めなかった。



 その予感は当たっていて、昼間の戦いから11時間後、ブラック・ナイトに赴きしばしの別れを済ませた柚に呼び出された龍は、深夜の学校のプールでもう1ラウンドするハメになった………………

 こうして即戦力級の力を持つ8人目の仲間・黒猫こと柚が加入しました。

 復讐を諦めていないことから、まだまだ完全和解とはいきませんが、今のところはこれで上々でしょう。

 ちなみに、作者である僕は個人的に彼女がお気に入りで、原稿用紙に黒猫が主人公の作品を書いたこともあります。

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