chat noir (3)
闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。
これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋と仲間達の転機の物語。
理解してくれた彼女に礼を言うと、黒蛇は餞別の品として、今夜黒猫が受け取る予定だった2本一組で細身の毒付きドラコスラッシャー・ヒドラスラッシャーを渡し、本部にある今回と同量の数の武器を、後日ペガサスの秘密基地に送る約束をした。
「黒蛇さん。私……」
「今生の別れではありません。ですが、お達者で」
「……はい」
主の様子を見て一安心した黒蛇は、ペガサスにここから出してくれるよう頼んだ。
ペガサスは了承し、結界に穴を開け始めていると、その間に、未来は彼に話しかけた。
「あの、黒蛇さん。あなたはこれからどうするつもりですか? 返答次第では、龍君達は……」
「……ご安心を。私は先々代司令・黒鳥様と同じく穏健派です。しばらくは組織再興に尽力し、いずれは平和的な方法で人類を発展させていこうかと」
「その言葉、信じていいんですね?」
過去の行いから疑念を抱く未来にそう尋ねられた黒蛇は、迷わず首を縦に振った。
気持ちいいぐらい真っ直ぐな答えを返され、未来は一応ではあるが、黒蛇を信用することにした。
彼女達から一定の信頼を得られた彼は、自分も未来と死獣神らを信じ、立ち去るついでに黒猫のことを託した。
「死獣神の皆さん。柚様のこと、どうかよろしくお願いします。それと、青龍さん」
「はい」
「私はあなた方を信じて、柚様の未来を託しました。もし、柚様が幸せになれぬまま死んだら……わかってますね?」
毒蛇のような殺気を出しながらそう脅す黒蛇に、龍は背筋がゾッとしたが、迷いも恐れもなく確約した。
龍の真摯な態度に、これなら任せて大丈夫だと思った黒蛇は、紳士的なお辞儀し、本拠地へと帰っていった。
人間を殺すため地上で活動しているペガサス。
そんな彼が認めた黒蛇が、今後ブラック・ナイトを導いていくのですから、彼らはもう龍達の敵ではなくなったでしょう。




