表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/97

chat noir (2)

 闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。

 これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋と仲間達の転機の物語。

 するとどこかから、


「私からもお願いします。黒猫様」

 という、声が聞こえてきた。


 聞き覚えのある声に振り向くと、物陰から黒猫のことを良く知る人物である黒蛇が姿を見せた。

 彼の登場に龍達は驚き、警戒したが、黒蛇が現れたのは別の用件だった。


「黒蛇さん! どうして?」


「もしもの時を思い、あちらで待機しておりました」


「そうじゃなくって! どうして……?」

 右腕として支えてくれている人物の意図がわからず尋ねる主に、黒蛇は穏やかな口調で理由を語った。


 ご存知の通り、彼は何よりも黒猫の幸せを願っていた。

 それは司令としての幸せではなく、1人の普通の少女としての幸せだった。

 その為には人類の発展という目的を掲げるブラック・ナイトにいるより、同世代の友人といて、当たり前の時間を過ごしていた方が近道だと、今回の一件で痛感したんだそうだ。


「……つまり、私はお払い箱、ということですか?」


「悪い言い方をすればそうなります。それに、影達へは便宜上、『今回と黒柴さん達を死なせた作戦の諸々の責任をとった』と伝えますから、結果的にそういう扱いになるでしょう。ですが、これも柚様の幸せを願ってのことです。無論、それは私だけの願いではありません。朔馬達もそうですし、亡きご両親もそう思っているはずです」


「パパとママも?」


「はい。子の幸せを願わない親などいません。ですから、柚様。どうか幸せに生きて下さい」

 部下として、そして1人の責任ある親として黒蛇の願いを聞き、黒猫は少し不安に思った。


 亡き親が本当にそう思っていたとしても、さっきの今で生き方を変えることは、強情で分からず屋な彼女にはかなり難しい。

 そんな器用なことができていれば、最初からこんなことにはなっていない。


 それをよくわかっていた黒蛇は、彼女が不安にならないように、こう付け加えた。


「それでももし、万が一幸せになれなければ、いつでも帰ってきて下さい。その時は再び司令として迎え、盛大に歓迎致します。それまでの間は、微力ながら私が代理を務めさせていただきます。なので、ご心配なく」

 帰る場所はある。そう知らされた黒猫は、迷いつつも彼らの願いを受け入れた。

 黒蛇はどこまでも黒猫のことを考え、彼女の将来を思って行動しています。

 そんな部下の言葉を受けたことで、彼女の心境は変化しました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ