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赤い目の真実(5)

 闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。

 これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋と仲間達の転機の物語。

 生徒らの憶測が飛び交い、教室がざわつき始めたその時、出入口の方で女の声とぶつかる音がした。

 教室にいた全員がパッと音がした方を向くと、柚が未来とぶつかり、彼女にうどん出汁がかかってしまっていた。


 見慣れた光景に、龍達が真っ先に思ったのは、柚がまたドジったという呆れより、彼女の口癖である『ふにゃ』が全く発せられなかったことに対する違和感だった。


「いつつ。あっ、ごめん。未来さん。おつゆかかっちゃって。私がボーッとしてたから」


「ううん。いいの。柚さんにとってはいつもの事だし、周りを見てなかった私も悪い。だから、気にしないで」

 謝る柚に未来は龍同様、彼女を優しく気遣った。


 しかし、彼女は一切反応せず、目を閉じ下を向く。

 いつもと違う様子から、転んだ拍子に足を痛めたのではと思った未来は、痛みがひどくなる前に、柚を保健室に連れて行こうと、彼女に手を差し出した。


 そんな善意で動いてくれてる未来に、柚は何かを呟いた。

 聞き取れなかった未来が聞き返すと、柚は目を見開き、顔を上げた。そして、


「ほっといてって言ってるのっ! なんで……なんで未来さんも龍君もそんなに優しいの!? いいかげんにしてよっ!」

 と、怒りに満ちた表情で怒鳴った。


 彼女の怒号と豹変に、それまでざわざわしていた教室は、水を打ったようにシーンと静まり返る。

 この状況と未来の顔を見た柚は、ハッと冷静になり、鞄を持って逃げるように教室を出ていった。


 残された宙達は何がなんだかわからず、彼女の態度に当惑した。

 それもそうだ。彼らが知ってる柚は天然でドジっ子で、いつも笑顔で温厚な少女だ。

 なのに、あんなことであそこまで怒る彼女を見れば、誰だってそうなる。


 龍もクラスメートと同じように彼女の様子に戸惑っていたが、自分以上に動揺し、固まっている未来の姿が目に入り、彼女に歩み寄った。


「未来さん。大丈夫?」


「う、うん。着替えなきゃいけない、けどね……」


「あ、出汁でか。それもだけど心の方」


「あぁ。そっちは、ちょっと重傷……それより龍君。ちょっと一緒に来て」

 未来はそう言うと龍の腕を掴み、教室の外へと連れ出した。



 ポカンとする同級生達に目もくれず、どこかへと向かう未来。そのらしからぬ態度をとる彼女に、理由も言わず連れて行かれている龍は、


「わわっ! どうしたの!? 未来さんも急に! 何かあったの!?」

 と、未来に問いかけた。


 すると彼女は、自身が見た信じ難い真実を明かした。


「……龍君。私、さっき見たの。柚さんの目が赤くなったところ」

 未来から語られた衝撃の事実に、龍は驚愕した。


「……え……? まさか……」


「うん。だから、柚さんのところに行こう。彼女だって、私達に正体を知られた以上、放ってはおけないだろうから」

 未来の言葉に龍は、迷いながらも最悪の事態を防ぐため同意し、翔馬の元へ向かった。


 闇の正体を知った青龍と全てを知られた復讐鬼・蠍こと柚。この2人の戦いは、最早避けようがない………………

 ついに明らかになった柚の正体。

 化けの皮を剥がされた彼女相手に、好意を持っていた龍は全力で戦うことができるのでしょうか?

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