赤い目の真実(3)
闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。
これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋と仲間達の転機の物語。
柚のド天然のおかげで、女子からの集中砲火を回避できた龍は、話題を変えようと雲雀らの会話に混ざった。
彼女らの会話は基本的に男についてであった。
「しっかし、雲雀の一番嫌いなタイプがナルシストとはねぇ。納得ちゃ納得だね。あ、だから、龍のこと好きなんだ。がっつり真逆だもん」
「まぁ、それ以外もあるけど、理由の1つとしてはな。たまーにいきすぎて腹立つ時もあるけど、おもろいしからかい甲斐がある」
目の前でそう評価された龍は、男としてどうなんだと思い悩む。
「そういう美夜さんが嫌いなタイプってやっぱり……」
「もちろん、裏表がある奴。裏切られたり騙されたりしたら、それだけでムカつくからね。だから、最初はあんたらのことも許せなかったけど、今は秘密を共有したからか少しは許してるよ」
龍と雲雀と澪は彼女の言葉を聞いて、ちゃんと友達に戻れたと確信し、ほっとした。
「へへっ。お前にしては寛大になったじゃねぇか、美夜」
「うっさい。そういや柚。あんたはどんな奴が苦手なの? 長い付き合いだけど、あんたのタイプっていまいちよくわかんないんだよね」
美夜にそう尋ねられた柚は、うどんを啜りながらのんびり考え、
「私は……優しい人が嫌い、かな」
と、全員が思ってもみなかった答えを口にした。
「何でだ、ネコ!」
「そうだよ! いいじゃん優しい奴って」
「確かにそうかもしれないけどぉ、優しい人って、優しそうにしといて実は裏の顔がありそうだから……」
柚の理由を聞いた澪らは、要は美夜と一緒だと解釈した。
「ちゅうことは、龍を恋愛対象としては見られへんっちゅうことか?」
龍を親指で指して聞く雲雀の質問に、柚はあどけない笑顔で頷いた。
それを受け龍は、告白もしてないのにフられたと落ち込み、宙は龍がフられたのを目の当たりにして、自分にチャンスがあると心の中でガッツポーズした。
外見的に好意を持っていたとはいえ、その相手からフられた龍。
彼の心中をお察しします。




