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死獣神~骨の書~  作者: 天馬光
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心の光 影の忠義(6)

 闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。

 これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋と仲間達の転機の物語。

 そんな激戦が、すぐ側で行われていることに気付いていない男子バスケ部は、気楽に2階で屋内練習に励んでいた。


「よーし。みんな休憩ー!10分後、ダッシュ10本な」


「うーっす」

 充実した部活動に正人は青春を謳歌し、いつか未来に試合を見てもらえる日が来ることを夢見ていた。


 そんな同級生らの前に、青龍が物音1つ立てず現れた。

 その目には生気が宿っておらず、正人らは一瞬亡霊と見間違えるほどだった。


「お前、いったい……」


「殺さなきゃ。リセットしなきゃ。殺さなきゃ。リセットしなきゃ……」

 ふらふらとした足取りでそう言うと、青龍は咆哮と共に彼らに急接近し、惨劇を齎した。



 その断末魔の叫びは、ドラコスラッシャーに難儀しながら龍を追いかける未来の耳にも届いていた。


 遅かったか。そう後悔しながら青龍を追いかけて2階に着くと、バスケ部員の何名かは頭が潰れてたり、もぎ取られたり、胴体を貫かれたりしていた。

 まさに阿鼻叫喚の地獄と化した廊下に留まる者などおらず、部長らはその場から逃げ去り、見たところ青龍が1人立ち尽くしていただけだった。


「龍……君?」

 未来が恐る恐るそう声をかけると、青龍はゆっくりと彼女の方を向いた。

 右拳を正人の左胸にめり込ませて。


「ぐふっ! 未来……逃げろ……こいつ、やべぇ」

 呼吸もままならない正人はそう言うと、青龍に振り回されて壁に叩きつけられた。

 龍は未来を見ても正気を取り戻さず、その目はただ彼女を獲物として捉えていた。


 愛する者の変わり果てた姿に、本音を言えば未来は怖くて仕方なかった。今だって悪寒と震えが止まらない。

 それでも彼女は彼のために勇気を振り絞り、決死の想いで彼に抱きついた。


「龍君……ごめん! ごめんなさいっ! 私が死んだせいで、龍君は壊れちゃったんだよね? 私が巻き込まなければ、殺し屋になることもこんな辛い思いをしなくても済んだのに……! 本当にごめん……許してもらえるなんて思ってない。龍君の気が済むのなら、好きなだけ痛めつけて殺してくれていい。けど、他のみんなは傷つけないで! だから……お願い龍君。元に戻って! あの優しくて、他人第一の龍君に戻ってぇっ!」

 まさに命懸けの訴え。未来は6年間言いたかったことを吐き出すかのように、感情に任せて訴えかけた。

 未来の一世一代の説得。彼女なりに思うこと、謝罪したいこと、それらがあってこそ、これが為せるのでしょう。

 あなたは彼女のように、愛する人のためにここまでできますか?

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