心の光 影の忠義(4)
闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。
これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋と仲間達の転機の物語。
そこへ、朔馬と同い年ぐらいの少女が、スナイパーライフル片手に本校舎の上から降り、彼の口を手で塞いだ。
「それは言わないようにあの人から言われてるでしょ? 朔馬。命令もまともに聞けないの?」
口を塞がれた朔馬はこの少女・六道茅の言動に身震いを起こした。
「ま、待て、茅。俺が悪かった。だから、それだけはやめてくれ。これから戦おうって時なんだし……な?」
「ダメ。それとこれとは話が別。お仕置きはきっちりと受けてもらうよ」
茅はそう言うと、朔馬の口を押さえる手から放電した。戦闘不能になるレベルの電圧ではないとはいえ、朔馬は痺れて膝から崩れ落ちた。
「反省した? 朔馬」
「あ、あぁい。もう2度としませぇん」
「よろしい」
そう言って朔馬を起こし、戦闘態勢に入る彼女に未来達は言葉を失った。
茅の放電。あれは間違いなくデミ・ミュータントになって得た能力。
未来が疑問に思い尋ねると、茅は別に知られてもいいことなのか親切に教えてくれた。
彼女が得た能力は帯電体質。何万ボルトもの電気を放電することができ、銃弾に纏わせ、レールガンとして弾速を上げることもできる。
未来が知らないのも当然で、茅は未来が持っていたもの以外のデータからブラック・ナイトが独自に生み出したデミ・ミュータント第2号であり、そのせいで毎日車のバッテリー分の電気を放電しないと命に関わるなど、日常生活に支障をきたしてしまったいわば、不完全なデミ・ミュータントでもある。
「……全ては、あの人の力となるためです」
「俺だってそうさ。茅達みたいなデミ・ミュータントじゃねぇけど、俺にはこの鋭刃十手と拳がある! ガキだからってナメてっと、痛い目見んぞ!」
2人が意気込むと、若い戦士らの士気にあてられたのか、朔馬と茅を支えようと影部隊がゾロゾロと集まってきた。
冷静沈着で淡々と任務をこなし、帯電体質のデミ・ミュータントでもある茅と、遺伝子こそいじくられていないものの十手と拳で大人顔負けの攻撃を繰り出す朔馬。
最年少の影である彼らの力は、まさしく脅威と言えるでしょう