心の光 影の忠義(3)
闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。
これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋と仲間達の転機の物語。
その頃、朱雀達は階段を駆け下り、軟式テニスのコートに到着すると、青龍が影相手に大暴れしていた。
朱雀と未来の呼びかけに青龍はピクッと反応したが、暴走をやめる気配はなく、それどころか彼女らに襲いかかってきた。
「つっ! こんのドアホ龍……」
朱雀は必死に抵抗し、青龍を止めようとしたが、それが逆に仇となって彼を逃がしてしまった。
「あっ……すまん。みんな」
「気にしないで。あれだけ暴れられちゃ仕方無いわ」
「先生……」
「跳んでった方角から察するに、西校舎か。あそこには確か、男子バスケ部が廊下を使って屋内練習してたはず……」
玄武のその言葉に朱雀の顔からサーッと血の気が引いた。
男子バスケ部には正人が所属している。このままでは正人の身が危ない。
マズすぎる状況に未来達は、青龍に友を殺させないために急いで西校舎に向かおうとした。
だが、その行く手を更なる刺客が阻んだ。
「くらえ! 流星っ!」
後方から唐突に聞こえた声から敵だと感じ取った朱雀らがかわすと、打撃部分が刃になった十手を突き出して、刺客がもの凄い勢いで通過した。
空振りさせたところを返り討ちにしよう考えた死獣神メンバーは、すぐ行動に移そうとしたが、刺客の姿を見てその手を止めた。
それもそのはず、彼女らを狙った刺客はまだ小学校高学年ぐらいの少年だったのである。
「君もブラック・ナイトの影?」
「だったらわりぃかよ」
「いや。不思議に思っただけさ。君のような子もいるんだって思ってね」
感心する玄武に、少年はバカにされたと思って苛立ち、
「あんたに言われる筋合いはねぇ! ガキならヤレないとでも思ったか? 俺はブラック・ナイトの影・藤堂朔馬だ! 俺だってなぁ……!」
と、言って、闇の正体について口を滑らそうとした。
ガキとは言いますが、彼と玄武達とでは3つしか変わりません。
つまり、どっちもガキなんです。