心の光 影の忠義(2)
闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。
これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋と仲間達の転機の物語。
が、この程度で死ぬペガサスではなかった。
ペガサスは刺さったヒドラを脇腹から抜くと、キュアより低級の回復魔法・ケアで自分の傷を治した。
「やったと思いました?」
「な、何故?」
「お生憎様。僕ら天国の者に地上の毒は効きませんよ」
ペガサスがそう言うと、黒蛇はやはり一筋縄ではいかないと悟った。
「おっしゃあ! ナイスっす。ペガサス先輩!」
「言ってる場合? 僕らにはやるべきことがあるだろう?」
「うっ。そうっしたね」
「そういうわけだから、みんなは先に行って。この人の相手は僕がするから」
ペガサスの申し出を受けた玄武達は、彼が適任だと考え、先を急いだ。
ただ1人。鳳凰を除いては。
「私は残ります。今回ばかりは、流石のペガサスさんでも自分を回復している余裕は無いでしょうから」
「見抜いてたか。その通りだよ。これほどの剣の使い手が相手では、手を抜いたら命を落としかねない……」
そう言うとペガサスは羽根を1枚抜いて振り、自身の愛刀である細剣・ウイニングソードを出現させ、手に取った。
「僕も剣でお相手しますよ。バルセロナオリンピックの元フェンシング銀メダリストさん」
「ご存知でしたか。しかし、毒が効かないとは……こうなれば、実力で挑む他ありませんね……」
黒蛇がそう言って切っ先を向けると、ペガサスもそれに応えるように同じ動作をした。そして、
「……覚悟」
と、互いに言うと同時に、一気に間合いを詰めて剣をぶつけ、中世ヨーロッパの決闘のような勝負を始めた。
黒蛇は道具頼りの二流ではなく、元アスリートとしての実力を持つ一流の剣士。
かたやペガサスも光の力を扱うことを一番得意としますが、剣の扱いにも長けています。
激戦は必至でしょう。