幕間① 『正朝報告書②』
──まず正帝の正体は、『別世界の人間』。
いわゆる、“宇宙人”と言ってもいい存在です。
この宇宙人と言うのは、その常人離れした才能と実力に対する例え……、いう訳ではありません。
本当に、どこか遠くの“異界の人物”らしいのです。
突然現れたというのも、文字の如く、本当に何処からともなく現れた、という報告もあります。
そして、彼はその才能を以って極東の民を率い、あまつさえは、大陸を支配する王朝までをも禅定によって手中に収めることになりました。それが、現在の正朝の礎。という訳です。
──しかし、まだ多くの疑問は残ります。
正朝という国は、初期は貿易を大いに行い、世界の中心とまで言われるほどの国際的な繁栄をもたらしました。
ところが、10年ほど前から突然その貿易を厳しく制限し始め、事実的な鎖国状態へと変貌したのです。
現在はその中は他国へ公開をせずに、何をしているかが分からない。といった状態にまで変わってしまいました。
そこで私達の出番だったのですが、首都の永都においては、もはや外国人全てを受け付けようとしないモノだったのです。
そのため、私たちではその突然の変貌の謎を解き明かすまでには至れませんでした。
この謎を解き明かすには、異国人であることをごまかせるような者でしか不可能です。
都内に侵入をできなければ、正朝『政府中枢』への潜入は不可能なのですから───────。




