序章 『正朝報告書①』
テスナ暦2563年 4月26日
4ヶ月に及ぶ正朝の偵察の結果、多くの秘密が判明いたしましたのでここに記させて頂きます。
まずは、正朝……大正帝国の詳細確認です。
正王朝は、2541年。つまり22年前に東方の地域からおこった現在世界最大級の領土を誇る超大国です。現在では、我が国と同じく所謂『三大国』の地位にあります。
その始まりは、突然現れたある男の蜂起とされています。
その集まりは次第に各地でその勢力を強めていき、ついには東大陸の元覇者であった『燿王朝』を滅亡にまで追い込み、新しい大陸の覇者となる。
そういった、言わば『正朝七英雄』のような伝説のみが他国にも伝わっていますが、詳しい事情はその後の政治転換もあり多くが謎のままとなっておりました。
そこで私たちの部隊が派遣され正朝の秘められたその内部を探ることになったのですが……、まず結論から言わせて頂くと正朝は素晴らしくもあり、それでいてトンデモない国でした。そしてこれらの伝わる伝説も本当のようです。
ここからは、その正朝の急激な領土拡大、発展の秘密。
加えて、それを統べる“正帝”について記したいと思います。
まず、大正帝国初代皇帝の正体とは──────。