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序章
四十代の女性が、家の中でひっそりと亡くなっていた。
一人暮らしゆえ、発見が遅れたものと見られる。
死因は未だ不明である。
女性は犬を三匹飼っており、死体は犬たちによってあちこち食べられてしまっていたので特定が困難となっていた。
特に、顔の肉は見る影もなくなっている。
なぜ、犬たちは飼い主である女性を食べてしまったのだろうか。
そのうちの一匹は元捨て犬で、今まで転々とたらい回しにされており、今は保護団体に預けられている。
この犬を飼っていた飼い主たちは皆、なんらかの形で命を絶っていた。
デスドッグ。
そう呼ばれ恐れられたこの犬の処分は、まだ決まっていない。