覚
「でももういいや。君たちはもういらない。ねぇ代償の命がもし2つあったら何ができるか知ってる?」天川がキョトンとした振る舞いで問う。
私は不老不死になるの。この美しい体と共に永遠に生き続けるんだわ」
両手を広げ空を見上げ欲に侵された天川の笑顔は狂気に満ちていた。
「だからね。もう君と真也には死んでもらうんだ」冷たい目で天川がケントを見つめる。
遠くで誰かが何かを言ってる。もうなんでもいいや。楽になりたい。
(ねぇ壊れるの?)誰の声だろう・・・あぁ僕の声か。
そういえば昔友達がいなくて自分の中にいたなぁ。今更なんだよ。
(滑稽だなぁボク)だから何?別にいいでしょ。
「鈴音、ケントは見つかったか?」真也の声がした。
(ほらみて?あーぁ真也バカだなぁ・・・なんで来ちゃうんだろ。わざわざ殺されに)
「あ、しんちゃん。ここにいたよ」そう聞いた真也が膝からお落ちて俯いてる僕を見た。
(ふっこれも全て天川の演技なんだかね・・・よくやるねあの子)
「大丈夫かケント?」真也がケントに駆け寄ってきた。
「しんちゃん。ちょうどいいや。けんちゃんと一緒に死んで」鞄からナイフを取り出した天川
「逃げろ・・・ケント・・・」天川のナイフが真也の心臓を貫いた。
同時に真也の生命の鼓動と未来が奪われた。
(ボク、2度も殺した相手に心配されてるよ。本当に滑稽だね。)なんなの?うるさいな僕。
もういいじゃん。次はどうせ僕が死ぬんでしょ。
(殺せばいいじゃん。また)僕はもう人殺しはしたくないんだ。また前のように潔白のままでいたい。
殺すくらいなら殺された方がマシだよ。
(ほら思い出して?僕の両親を殺したのは誰?)そんなの知らないよだってあれは事故で・・・
(よく両親にイジメられたね。ちょっとしたことで蹴られて殴られて。風呂の中に顔を沈められて。何度殺されかけたっけ?そして両親はボクを山の中に置いてお行こうとして車に乗せたね。山道でそれを偶然知ったボクは後部座席から運転手である父親の頭を備え付けの工具で殴った。
運転手が気絶してコントロールを失った車はガードレールを越えて落ちていったね。
でも、運よく落ちている時に窓から落とされた僕は助かったけど両親はそのまま死んだ。
両親を殺したのは誰だって?ボクだよ)
(楽にしてあげる。だからもう。おやすみ)
「ほーら次はけんちゃんの番だよ。さぁさぁ逃げ惑って・・・」天川の狂気が向けられた。
俯いたまま立ち上がったボク。
「あれ?もしかして殺る気?」天川が甲高い声で問う。
そのままボクは左手で天川の首を絞めた。
「くっそ死に損ないめ」そう言いながら天川はボクの腹にナイフを突き刺した。
お腹の中から血がこみ上げて吐き出した。でも不思議と痛みは感じない。
そのまま両手で天川の首を力一杯絞めた。
「うぅぐぁ・・・ひ・・と・・ごろ・・し」泡を吹きながら天川は肉の塊となった。
ボクは天川の髪の毛を持って引きづりラプラスの店へ持ち込んだ。
「時間がない。こいつをもっと殺したい」
「二人もいらないよ」
「じゃぁ時を戻して。それで殺させて。」
「代償はいただくよ」ラプラスが皺れた声でそういうとボクは上か下か左か右かもわからぬまま
長い時間落ちた。