起
こんなくそったれなリアルが色鮮やかに見えるようになったのはいつからだろう。
若くして、世捨て人となった僕・・・16歳。高一である。名を 半田 ケント
今まで特に苦労もなくなんとなく勉強してきてなんとなく受験して合格してそこそこの学校に入った。色で例えるならそう灰色だ。黒でも白でもなく中途半端、赤や黄色、緑のように色鮮やかでもない。きっとこれからも、なんとなくの灰色の人生を送るのだろう。まぁ別に、人生なんてそんなもんだろうと割り切ってるからいいけど。そう思ってたけど、アニメと出会って変わった。登場人物たちは個性的で物語では全てが運命的で僕を興奮させた。それが僕を友達とも引き合わせてくれた・・・
「ケント、待たせたな」彼の名前は 上坂 真也。友人だ。
「半田くん〜」彼女の名前は 天川 鈴音真也と付き合っている。
学校では有名なお似合いカップル。人の前ではあまりいちゃつかず、一時期は本当に付き合っているのかという噂が流れたほどである。今日は三人でコミケである。みんなものすごく張り切っていた。「はい、ふたりとも。ジュース買ってきたよ。どっちがいい?」天川が買ってくるジュースは必ずどちらかがおかしい。「お前、がぶ飲み納豆味とお茶って・・・」真也が毎度のことながら呆れた顔でお茶を指差す。「・・・」僕も仕方なくお茶を指差す。
「よぉしケント、今回は3本勝負だ。先に3かい買ったほうがお茶な」
「負けないよ」
「最初はグーじゃんけん・・・」
「ぽい!!」
「やった〜私1勝〜」天川が毎度のことじゃんけんに割り込んでくる。
「ちょ、天川。そりゃねぇよ。」真也が言う。
「だってしんちゃんつまんなかったんだもん」
「OKじゃぁ次からが勝負だ真也」
「望むところだ」
「最初はグーじゃんけん・・・」
結局真也が勝ったのである。
「はい、ケント。納豆味だ。楽しめよ」
「どうケンちゃん美味しい?」
「最悪の味だ・・・こんなもんどこに売ってんだ?」実は意外にうまかったりする。
「そういえば、今度友達とカフェに行ってくるんだけど秋葉の隠れ家みたいなカフェ知ってる?」天川が尋ねた。
「知らない」真也が答えた。
「どんなところかな?今度みんなで行こうね」天川が言う。
「うん」二人が頷いた。
それから一行はコミケを満喫した。
「楽しかったね。」
「また行こうね」
「それじゃぁね!」
そうして三人は別れた。
その一週間後。天川が事故死したことを真也に告げられた。