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彼女に出会って

作者: hajime818

彼女と出会ったのはいつだっただろうか・・・

寒かった。それとも暑かった。それすら記憶には無いが

彼女のことは一生忘れないだろう。



当時の僕は週末になると友達と飲みに行くのが楽しみだった。

やきとり屋・居酒屋などなど、いちいち覚えていないくらい色々なところに行った。


僕の友人はフリーペーパーなどを良く見ては新しいお店や面白そうなお店を探しては

飲みに行っていた。

その日は市内で唯一の繁華街がある通りから少し外れた場所にある洋風居酒屋に行こうと

誘われフリーペーパー片手にお目当てのお店に入った。


今思えば、僕はこのお店にどれだけ通っただろうか。どれだけの美味しい料理を食べたのだろうか。どれだけ楽しい時間を過ごしただろうか。

今はもう無いこのお店で、彼女と出合った。


坂の途中にあるそのお店は居酒屋ですって主張していない割と落ち着いた

雰囲気のお店だった。

中に入ると手前の両サイドにカウンターがあり奥の左手側には個室が2つあった、

よくドラマなどである中年のくたびれたサラリーマンがカウンターで愚痴を言いながら

酔いつぶれている、そんな感じの店ではなく、PUBやバールと言った感じだろうか。

お店に入って左側のカウンターの奥に簡単な調理場があり、キッチンは入口の横に1人がやっとという感じの窮屈そうなキッチンだったがよくよく考えるとなんにでも手の届く

機能的なキッチンだと思った。

カウンターに座ると正面上の食器棚の扉部分が黒板になっていてチョークの白い文字で

ドリンクの種類やおすすめメニューなどが女性らしいかわいい文字で書かれていた。


そして彼女と初めて出合った。彼女と初めて話した。


さすがに全ては覚えていないが、オーダーのやり取り、フリーペーパーを見て来たことや

友達とは高校時代の同級生であることなど普通の会話をしていた。

普通に話すことで自分を落ち着かせていた、普通でいられないくらい彼女はかわいいから。


僕の頭が記憶力がもっと良ければ初めて彼女と話したあの日のことを決してぼんやりとした記憶には留めていないだろう。

ただ当時の僕が頭が良くても記憶力がもっと良くても平常心ではいられないから同じことであっただろう。


お店はキッチン担当の女性とカウンター&ドリンク担当の彼女、もう1人カウンターに

男性がいるがお店が無くなるまでその男性と合えたのは数回しかない。

キッチン担当の女性は彼女より少し年上でとても料理の上手なしっかりした女性だ。

色々なメニューを手早く作り、時にはメニューにも無い料理を作ってくれた。

手が空けばカウンターに来ては彼女と一緒に話し相手になってくれる、2人とも明るくて

話していて楽しい。もちろん仕事もテキパキこなす。

女性2人で開けていることが多いのか、奥の個室は女子会でほとんど埋まっていた。

基本的には洋風のおしゃれなメニューが多いのとドリンクもワインやカクテル等あるため

女性が受け入れやすいのだろう。料理は何を食べても美味しかった記憶しかない。



彼女はカウンターで注文を聞いてはキッチンに伝え、ドリンクを用意する。簡単なものならカウンターで料理する。

いつも明るく元気だ。

とても綺麗でスタイルもいい。目が大きく笑顔が素敵だ。たまにおっさんみたいに笑う。

とても優しく相手のことも良く考えている。時には慰め、間違っていることは違うと言える。ペンギンが大好き。

考えれば、いや考えなくても彼女のことは思い出せる。

なぜなら彼女を好きになっていたから。

会話の内容は思い出せなくても彼女の表情やしぐさは覚えている、これだけはずっと忘れない。彼女の優しさも全て忘れていない。


こうして彼女に出合った、会うたびに好きになっていった、好きになるたびに会いに行った。楽しくて楽しくて仕方なかった。

自分勝手な思いだけどお客さんから友達になったようなそんな感じだった。



何年か過ぎたのだろうか、それともそんなに過ぎてないのか。

相変わらず、お店には通っていた。その頃には彼女に彼氏がいることも知っていた。

あれだけかわいい彼女のことだから彼氏くらいいてもおかしくない。

好きだからこそ応援しようと思った。彼女が幸せでありますように。

彼女のことはずっと片思い。


僕の会社が彼女のお店の近くに引越しした。

今まで車通勤だったのが公共機関での通勤になった。

彼女のお店に行く回数が週末から毎日に変わった。


その頃の僕はとても疲れていた。地方だが一応上場企業。年は取っているが下っ端。

今まで勤めてきた会社がそれほど大きくなかったためか社会人としての自覚が無かった為か働くのに疲れていた。

決まった形に合わせて奇抜なことはしない。

会社ではどんなに仲が良くても他人。あくまで会社での人間関係。仕事上だけの付き合い。

たぶん間違ってない。それが本当の会社のあり方だろう。クラブ活動ではなく奉仕活動でもない。お金を稼ぐために仕事をしている。生活するために仕事をしている。

そんな基本的な考え方が出来ない、大きくなっただけの年を取っただけの子供。


それが自分だった。



ただ、今の会社でいちばん良かったのは彼女たちの店に近くなったこと。

仕事が終われば彼女に会える、美味しい料理と冷たいビール。

そして彼女の笑顔。

ただそれだけのこと、でもそれだけのことで幸せだった。

仕事も人間関係もとりあえず上手くこなし、僕は会社のない日以外、お店に寄っては

1、2時間過ごし帰った。幸せな気持ちと体重が増えていった・・・



春だったろうか彼女は彼氏と結婚したと言った。


表現できないような感情。でも彼女が幸せなら喜ぶべきこと。

もともと片思い、彼女には彼氏がいたし。

彼女が好きだったから、応援しようと思ったから、びっくりはしたけど

「おめでとう」と言った。

心から言った、彼女には幸せになってほしい。

とても素敵な彼女のことだから幸せで楽しい結婚生活が送れるだろう。

素直に祝福できた。

こんなに素敵な彼女を嫁に出来た彼氏のことは正直にうらやましいとしか思ってないが

心から祝福していた。


ある日、いつものように仕事終わりにお店に行ってみた。

なんの変哲もないふつうの日。

仕事を終わらせ事務所を出て彼女のいるお店に行ってみた。

いつもの風景、いつもの時間、いつものお店。いつものことなのに・・・

ただいつもと違うのは、お店に彼女がいないことだけ。


キッチンの女性は言った。

体調を崩して休んでいる。

体調不良なら体が良くなれば戻ってくるだろう。

それくらいにしか思ってなかった。

何日かすれば戻ってくるだろうと。

お店にはいつも行くからいつか会えるだろう。


彼女はお店に戻ることは無かった。



彼女がいなくてもお店には通った。

だって彼女に会えるのはこのお店だけなのだから。


ある日、キッチンの女性は教えてくれた、彼女が辞めたこと。

その日のことはあまり覚えていない。

体調が戻らず働けなくなったようだとしか覚えていない。

あの笑顔はもうこのお店には戻ってこない。あの素敵な時間も、楽しい会話も・・・



彼女とは携帯番号の交換をしていたので電話を掛けることもできたが既婚女性に電話する勇気は無かった。

メッセージのやり取りはしたが、詳しいことを聞く勇気も無く、彼女からの返事も無かった。



お店はキッチンの女性1人で切り盛りするようだ。

惰性なのか習慣なのかそれとも彼女の面影を求めてなのかは分からないが

お店には相変わらず通っていた。

1人でオーダーを聞き料理を作りドリンクを入れる。

お客さんが少ないときは2人でよく話した。

昔ほどではないが楽しい時間になっていた。


ある日、キッチンの女性は言った

辞めていった彼女もわたしも、あなたのことはただのお客さんとは思っていない。

そんな言葉だったと思う。

うれしかった。どんな言葉よりうれしかった。

僕にとっては最高の言葉だった。



キッチンの女性がお店を閉めると言った。

1人では無理があったのだろう。

あの思い出の場所、彼女と始めて逢った場所が無くなる。

永遠なんてものは無い、絶対なんて存在しない。

頭では分かっている知識では知っている。

でも、もしも僕の望みが叶うのなら・・・

このお店でずっと彼女の笑顔を見ながら、キッチンの女性の料理を食べながら

カウンターに座っていたい。

僕のささやかな望みが叶うのなら。



お店の閉店の日。僕は入院していた。

あのお店の最後を見たくなかったのかストレスか分からないが、お店には行けなかった。

あの思い出の場所にはもう誰もいない。

形はそのままでもただの箱。入れ物に戻ったあの場所。

悲しかったのだろうか、悔しかったのだろうか、寂しかったのだろうか。

もう何も分からない。

ただ思い出だけが残っている。

退院後、仕事に復帰した。部署が変わっていた。

仕事が終わればまっすぐ家に帰った。

これが普通の日常なのかな、今までがおかしかったのかな。


誰か教えてください。


どちらが間違っていたかを。

でも僕はあの楽しかった日々を間違いだとは思わない。おかしいとは思わない。



キッチンの女性は僕の住んでいる地域のお店で働き始めた。

あのお店より少し狭いがあの料理の腕は健在だった。

僕は前のお店ほどではないが顔を出してはキッチンの女性と話していた。


携帯端末で彼女の友達が観葉植物を誤って大量に仕入れてしまい買い手を捜していると投稿していた。


彼女のコメントもあった。


僕は1つ分けてもらうことにした。

こんな理由をつけなければ彼女に逢う勇気はなかった。

結婚しているからだろうか。

それとも彼女の幸せを願っているといいながら

誰かに嫉妬しているのだろうか。


ただ彼女に逢う口実は出来た。

彼女と待ち合わせ。何年ぶりだろう。

彼女に逢える。彼女に逢える。


ある日の会社帰りに会社近くの駅で会うことになった。

待ち合わせ場所に向かう僕はドキドキしていた。


彼女が僕の名前を呼んだ。

あの素敵な笑顔で。


あの当時より可愛くなっていて彼女とは分からず通りすぎていたようだ。

髪が長くなっている、ストレートになっている、相変わらず目が大きく、ペンギンが大好き。僕が大好きな彼女だった。

照れてまともに彼女の顔も見られなかったような気がする。

恥ずかしさもあってか、彼女の帰りの時間もあってか5分足らずで数年ぶりの再会は終わったが、彼女の笑顔、優しさも変わっていなかった。

その日はいつもより楽しかった気がする。



全て書いたわけではないが、これで全てかもしれない。

今現在に至るまでの彼女との出会いはこんな感じだったと思う。

彼女、キッチンの女性がそれぞれ見れば違う感想を抱くかもしれない。

覚え違いを指摘されるかもしれない。

ただ僕としては彼女たちに出会ったあのお店のこと、彼女のこと、キッチンの女性のこと

何かに残しておきたいと思ったのか、それとも心の整理のために書いたのか、彼女に読んでもらいたいのか分からない。

僕は何がしたいのか僕自身が分からない。

彼女が好きなのは確かだが、僕はどうしたかったのだろう。


彼女と付き合いたい、結婚したい。


彼女には彼氏がいたし、彼氏と結婚もした。

彼女は彼氏が好きだったし、彼氏ももちろんそうだろう。

入る余地も自信もない僕は、可愛いね、大好きだよと彼女に言った。

これが精一杯の彼女への愛の言葉。



もちろん僕も男なのでその間に色々な女性と知り合った。

年上で酒癖は悪いし怒りっぽいが僕を愛してくれた人。

若いのに2人の子供がいて1人で育てている人。

昼間の仕事をしていたが、スナックで働いてみたくて夜の世界に入った人。

数回しかお客として行ってないのにお金を貸してくれと言った人。

色々な女性に出合った。でも彼女ほどの女性は居なかった。



年末だっただろうか、ソーシャルネットワークを見ていたら彼女の苗字が昔に戻っていた。

少し混乱していた。

旧姓に戻る。

すぐに彼女に確認した。

離婚を考えているらしい。詳しいことは聞けなかった、聞かなかった。


聞く勇気が無かった。


彼女とメールでやり取りした。

何年ぶりだろう。

忙しいらしく、なかなか返事が来ないときもあったが

今までを思えば頻繁に連絡しているほうだ。

昼も夜も働いているらしい。

週末だけバイトで夜のお店に出るといった。

教えて貰った。

いまさらお客さんとして会うのは恥ずかしいと言っていたがお店に行った。



彼女は相変わらず可愛かった、美しかった。

久しぶりに彼女と話した。

昔とは違うカウンター越しに。

昔と変わらない笑顔で。

あのお店ではTシャツで働いていた彼女が派手ではないが夜のお店用の服を着ていた。

お酒を飲みながら会話をした。

あの時とは違うが、彼女との時間が戻ってきた。

さすがに久しぶりで照れくさかったのか、彼女が他のお客さんの接客に付いたときにお店を出た。


彼女に逢える。彼女と話せる。彼女の笑顔を見られる。


週末だけ出ているとのことで人ごみが嫌いな僕は金曜にお店に行くことにした。

その日は用事があるとのことで12時に彼女は帰るらしい。

彼女はビールを飲みながら、話した。

今までのこと。でもその話の中に彼女の離婚のことや今どうしているのか、そういったことは含まれていなかった。ただのうわべの会話だったのだろうか。

その日の彼女はとても酔っていた。

一緒にお店を出て腕を組んだ手をつないだ。

まるで恋人のように歩いた。

彼女が少しなら時間があるとのことでショットバーに行くことにした。

疲れからだろうか、とても酔っていた彼女はスキンシップがとても多くなっていた。


お店を出て彼女を送るためにタクシーの方へ歩いていた。

彼女とは腕を組んでいる。

何を思ったのだろうか、それとも何も考えてなかったのだろうか。

彼女の名前を呼んだ。

彼女が僕を見た。


キスをしていた。


彼女と出合って何年たっていたのだろうか、手をつないだ。腕を組んだ。肩を抱いた。

腰に手を回した。


そして彼女にキスをした。


とても優しいキスだった。


ほんの数秒かもしれない、もっと時間が経っていたかもしれない。


なにも分からない。


ただ分かることは、彼女をとても好きだということだけ。


愛しているということだけ。


それだけ分かれば十分。今の僕にはそれだけで。


その日、彼女とは3回キスをした。




人を好きになったことは何度もあった。

一方通行の片思いが多い。

お付き合いもしたこともある。


世界に1人だけでいい、僕のことを好きになってくれる人。

それが彼女であれば。

好きな人に好かれるにはどうしたらいいの?


彼女は僕のことをどう思っているのだろう。

僕は、彼女のことが好きだ。


ただ以前は言えなかったが、今なら言えるだろう、今なら分かるだろう。

自分が何をしたいか。


彼女と付き合いたい、結婚したい。ずっと一緒にいたい。

彼女と一緒にいたい。


不安はある。

彼女にはすでに好きな人がいるのだろうか。

彼女はもう結婚を望まないのだろうか。

彼女は僕のことを恋愛対象として見ているのだろうか。


僕は何をしたいかは分かった。



僕は彼女のことが大好きだ。

あの店で逢った時から。

でもあの時とは違う。

大好きの意味が違う。好きの意味が違う。

彼女と付き合いたい、結婚したいほど好きだ。



以前のお友達のままで彼女のそばにいるか。

今の気持ちを伝えるか。

恋愛だ、付き合うこともあれば断られることもある。

僕の気持ちを彼女は知っていると思う。

彼女の気持ちを僕は知らない。

それならば彼女の気持ちを聞けばいい。

彼女と話せばいい。

それが答え。

正解か不正解か分からないが。


彼女に話そう、彼女に伝えよう。

そして彼女に聞こう、誰にも分からない彼女の気持ちを。

そのために言葉があるのだから。

あのお店のカウンターで始めて話をしたときから、今日までの気持ちを全て伝えよう。


付き合ってくれるかもしれない、もう友達でもいられないかもしれない。

でも伝えなければ、聞かなければ始まらない。

始めなければ終わりは来ない。

どんな終わりが来ようと。


僕は彼女に伝えよう、つたない言葉で。

ありったけの気持ちを込めて。


彼女に大好きだと。




僕は彼女に連絡を取った。

彼女に話したいことがあると。伝えたいことがあると。

普段の雰囲気と違っていたのだろう。

彼女は戸惑いつつも時間を作ってくれた。


彼女と約束をした日。

僕はきちんと仕事が出来ていたのだろうか。

不安な気持ちだけが心を締め付ける。


待ち合わせ場所には僕が先に着いた。

彼女も仕事帰りなのだろう、ラフな服装で、いつもより薄い笑顔で席に着いた。

僕が言おうとしていることが分かっているのか、緊張した面持ちで。


僕は自分の言葉で彼女への気持ちを話した。

とてもスムーズな話し方ではなかったが彼女は最後まで聞いてくれた。


彼女はうれしいと言った。彼女はありがとうと言った。

そして、あなたはいつも優しいねと。

あの今は無いお店で見せてくれた素敵な笑顔で言った。



僕はこの彼女の素敵な笑顔を守ろうと思った。



たとえ彼女がどんな答えを出そうと。どんな結果になろうと。

一方的だが僕の気持ちは伝えた。彼女が大好きだと。

時が止まったような静かな時間が流れた。

彼女は言った。いつも元気な彼女が小さな声で。ふるえるように。


わたしも好きと。


この言葉を理解するまでにどれほど時間がかかったのだろうか。


うれしい?うれしくないはずが無い。

しあわせ?幸せでないはずが無い。

でもこの感情はどう表現したらいいのだろう。

今まで人を好きになってきたけどこんな感情は初めて。



彼女はハンカチで僕の涙を拭いた。

泣いていたのだろう。

無意識のうちに。

人ってうれしくても悲しくても涙がでるみたいだ。

恥ずかしいけど、周りから見れば気持ち悪いかも知れないけど、どう思われようが

今この時間を、この幸せな時間をもう少しだけ、もう少しでいいから味わっていたい。


僕が落ち着いた頃に彼女は話し始めた。

結婚してからのこと。お店を辞めてからのこと。離婚してからのこと。

自分で決断し答えを出してきたこと。


僕と初めてお店で出会って仲良くなったこと。


当時は彼女には彼氏がいて彼氏のことが好きだったが、毎日お店に来ては飲んでいく

僕のことは彼氏ほどではないが気にはなっていたようだ。

彼女の話を聞いているうちにこの数年間の隙間が埋まっていった。



彼女は夜の仕事を辞めて、少し時間が出来たので食事の約束をした。

彼女には行き先を伝えていない。

ただ行くお店はずっと僕が連れて行きたかった。彼女に会わせたかった、あのお店で

キッチンを担当していた女性の働いているお店だ。

キッチンの女性にもお店の予約はしたが誰を連れて行くかは言ってない。

あの懐かしいお店はもう無くなったけど。

あの懐かしい3人はまた出会える。

少し時間がかかったが再び3人で逢える。


場所は違うが大好きな彼女の笑顔を見ながら、キッチンの女性の料理を食べながら

カウンターに座っていた。

僕のささやかな望みは少し形が変わったが叶えられた。

彼女に告白したことによって。

大好きな彼女と付き合うことによって。

さあ、何から話そうかな。積もる話は沢山ある。


今日くらいは飲みすぎてもいいよね、だって僕のささやかな望みが叶ったのだから。

3人が久しぶりに集まったのだから。

今は無きあのお店の時みたいに。


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