ちょっと冒険
布団を抜け出して、鶏舎に向かって階段を上がる。
鶏舎横にある通路は倉庫に繋がってるけど鍵がかかっている。
数字キーの組み合わせだけど、洪が操作してるのを盗み見して覚えてる。
2200だったな。
廊下は結構気温が低くてひんやりしてる。
鶏舎っていうか、酪農区画が全体的に温かいのかな?
しかしま、臭くない空気って久しぶりに嗅いだ気がする。
この中のどっちか行けば変わったものがあるかなと期待したい。
出来るなら通信施設。
エルのところにはもしかしたらあるのかもしれないけど、VRドロイドに追っ払われたりしてるしもう一回行くのは結構リスキーだよな。
ただ、こういう施設ならリスク回避のために機械や施設のバックアップないしは予備施設はあるはず。
施設を乗っ取ってどうこうは無理でも通信関係の端末に接続できれば、MOMOを使ってどうにか出来る・・・と思いたい。
最近のアプリとかは優秀だから、MOMOに確認しながら操作していけば素人でも何とかなる。
はず。
っていうか何か置いてないと困るだろ、NSCの奴らも。
コロナを乗っ取るみたいなことを言ってたし、そのためには地球なり月なりと更新して何らかの要求を伝えたりしてるはず。
はず、はずばかりだけど、こればっかりは実際に通信に仕える機械を見つけないことにはどうにもな。
あとはゼロゼロナンバーのスパイみたいにカッコよく出来ればいいんだけど。
そう考えると今のスパイっていうか工作員ってけっこう仕事しやすいのかな?
大体のことはアプリでどうにかなるし、よっぽど特殊な作業以外は共通端末からナビゲートしてもらえる。
地図とかも持ち歩かなくて済むし、電子錠とかもコードをつないだりカメラをかざすだけで解析できたり。
出来ないことっていったらご飯を作ることと車や仕事を任せたりとかいったことくらいか?
あ、工具を使った作業とか小説を書く、絵を描いたりするとかいった作業も無理か。
音楽はなんかアプリがあったはず。
鼻歌とかフフーンとか言ってマイクに向かってリズムを鳴らすと曲に仕立ててくれるアプリが。
こうしてみると端末といくつかのアプリがあると大体のことはできるんじゃね?
あ、歩いてたら扉に着いた。
・・・アプリがあれば大体のこと出来るとかさっきまで考えてたけど、やりたいことに対応したアプリをダウンロードするなりして端末の中に無かったら結局できないのと一緒だよな。
ここの扉の暗証番号だって解析アプリなんて持ってないから、まぐれ当たりを期待して数字入力しないといけないし・・・。
やっぱりまた2200かな?
・・・開いた。
で、ここは何の部屋かな?
モーターっていうかブーっていうような低い音がしてるから浄水施設かもしれないけど。
いや、ここ浄水施設だな。
パイプにタグが付いてる。
コロナの南半球側の水が集まってきてるみたいだけど、これはなんだ?
海水循環って・・・?